和歌山県

湯浅その2(湯浅町)

湯浅の町並みは06年12月に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定された。9年ぶりに訪れてみると、かなりあちらこちらに手を入れたあとが見えるが、食堂やトイレなどの施設も増えたのはありがたい。醤油と味噌という昔からの地場産業をうまく町おこしにつなげているようだった。

湯浅・北町@(湯浅町)10.05.02       36×51cm
ゴールデンウィークに入って、あまりにもよい天気が続くので、つい出かける気になり、湯浅を行き先に選んだ。普段でも渋滞名所の「湯浅御坊道路」は、予想通り和歌山インターから先が一寸刻みとなり、朝早く着く予定は大幅に狂ってしまった。いろいろ迷った結果、前回とまったく同じ場所でスケッチブックを広げた。

湯浅・北町A(湯浅町)10.05.02       36×51cm    Uさん蔵
北町通りにできた食堂で昼食後、同じ通りある「太田久助吟製」という味噌屋さんの前で2枚目を描いた。湯浅では以前来た時も格子に取り付けた「せいろ」に花や道具類、色紙などを飾り、道行く人に楽しんでもらおうという「せいろミュージアム」の企画をしていたが、重伝建地区に選定されて、家の前面を飾る小物がさらに増えたようである。というわけで、小物一杯の絵になった。
日影に入ると心地よく、居眠りがでそうだった。以前、この町でスケッチした時、親切にしていただいたKさんの消息を尋ねたら、この通りで工房を開いておられた。「5年間、和歌山市で仏像彫刻の修業をした」とのことだった。

湯浅・大仙堀(湯浅町)10.05.02       F6
味噌屋さんの前でスケッチしていると、中から「コーヒーでもいかがですか」というありがたい声がかかったが「もう少し描きたいので」と丁重にお断りして、湯浅では無視できないスケッチポイントの「大仙堀」へ行った。真黒な醤油蔵が並び、皆さんがよく描いておられる。かつては特産の醤油などの積み出しで賑わった場所だというが、ちょうど引き潮とあってどぶ川のような感じ。しかも通行量の多い道路際なのでスケッチしにくい場所である。ちょっと義務感みたいな気分で描いた。

湯浅・中町(湯浅町)10.05.02       F6
重要伝統的建造物群保存地区の範囲は北町のほか南北に通るかじや町、中町、浜町の三つの通りの囲まれた6.3ヘクタールである。そのエリアを出て中町通りを南へ行ったところに、いかにも老舗という感じの味噌屋さんがあった。観光協会のパンフによると「玉井醤本舗大阪屋三右衛門店」という長い名前の「経山寺味噌」の店で、創業400年だという。金山寺味噌というのは知っているが経山寺味噌というのは知らなかったのでネットで調べたら経山寺(径山寺)も読み方は「きんざんじ」で、同じもののようである。

湯浅・かじや町(和歌山県湯浅町)10.05.02       F6
湯浅の町並みをぐるりと一周、振り出しへ戻った。正面に見える家は「麹資料館」といい、1枚目はこの近くでスケッチした。その建物はたまたま修復工事中で一部にシートがかかっていたが、その点スケッチは写真と違って便利。シートは取り除いて描いておいた。湯浅は本瓦葺きの屋根がとても多く、この絵で、視野に入る建物のほとんどが本瓦葺きだった。午後遅くなって、観光客に替わり、子供連れの人、犬を連れた人など地元の人の姿が目立ち始めた。

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