鳥取県

若桜(若桜町)

若桜は古くは城下町だったが、江戸時代から因幡と播磨を結ぶ街道(現国道29号線)の宿場町として発展した。町を通り抜ける旧街道に沿って、「カリヤ」(仮屋)と呼ばれる昔のアーケードが残っているほか、蔵通りと呼ばれる裏通りには土蔵がずらっと並んでいる。

   
  「若桜鬼ヶ城跡」から(若桜町三倉)2018.05.04     36×51p  
 
所用で鳥取市へ出かけるついでに、途中の若桜町で寄り道スケッチをした。若桜は江戸時代に宿場町として発展したが、それ以前に城下町としての歴史がある。町を見下ろす鶴尾山の山頂に「若桜鬼ヶ城」の遺構があり、車で登れることが分かったため、まず城跡へ。三の丸広場へ行くと、目の下に若桜の町並みが広がっている。山陰独特の赤い瓦屋根が交じるのが美しい。若桜鉄道の終点・若桜駅が見え、動態保存しているSLの汽笛がすぐそばで鳴るほどの大きさで聞こえてくる。楽しく描いていたが、この日は予報通り途中で雷雨がやって来て、時々中断を余儀なくさせられた。


 
 
 
   
  「蔵通り」(若桜町若桜)2018.05.04     F6  
  若桜城跡から若桜の町中に下りてきた。メーンストリートである「カリヤ通り」の北側に並行して「蔵通り」がある。1885(明治18)年に大火があり、この通りに多いお寺を火災から守るため、蔵以外を建てることが禁止された。寺も通りから16間後退して建てることになったため、土蔵ばかりがずらりと並ぶ珍しい景観が出来上がったという。スケッチしていたら通りかかる人たちが「ご苦労様です」と声を掛けていく。残念ながら一部が空き地になっていたが、この町並みは地元の人の誇りであるのだろう。  
 
 
   
  若桜駅(若桜町若桜)2018.05.04     F6  
  若桜での3枚目に若桜駅を描いた。この駅舎は1930(昭和5)年に鉄道省若桜線の終着駅として開業した当時の姿をそのままとどめているといい、2008(平成20)年6月に国の登録有形文化財になっている。国鉄を経て三セク鉄道の若桜鉄道となった現在も現役の駅として使われているほか、構内では蒸気機関車とディーゼル機関車の運転体験なども行われていて、大型連休中のこの日も多くの観光客を集めていた。  
 
 
   
  「不動院岩谷堂」(若桜町岩谷堂)2018.05.04     F6  
  Fさんが若桜駅前にある観光案内所でパンフレット類をどっさりもらってきた。その中に「不動院岩谷堂」というのがあり、天然の岩窟内に建てられた舞台づくりのお堂で、国の重要文化財に指定され、”日本3大投入堂”の一つだという。姫路方面に5キロほど戻る必要があるが、道路からすぐの場所にあり、Fさんも行ってみたいというので、出かけることにした。投入堂といえば同じ鳥取県の三朝町にある「三徳山三仏寺投入堂」が有名で、こちらは険しい岩肌を鎖につかまりながら登り、足場の悪い中でスケッチした思い出がある。しかし、岩谷堂の方は、道路脇に駐車場があり、そこから橋を一本渡るだけのところにあった。不釣り合いなほど立派なトイレが併設されていたのが印象的。  
 
 
カリヤ通り(若桜町若桜)05.07.01         36×51cm
「カリヤ」ができたのは明治時代だそうで、以前はカリヤ伝いに雨や雪を避けながら歩くことができた。しかし現在は途切れ途切れに残っているだけで、本来の機能は果たしていない。絵にした町屋にはそのカリヤがあり、山陰特有の赤い瓦となまこ壁を配した煙出しが印象的である。

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