大阪府

八尾(八尾市)

八尾市は無秩序に都市化した町だけに、寺内町の面影を残す久宝寺地区などを除き、古い民家が残っていることを知らなかった。05年に西武百貨店八尾店で「第5回河内を描く美術展」が開かれ、初出品したのを機に、訪ねてみた。近鉄八尾駅のすぐ南の東本町あたりもかつては寺内町だったそうで、古い街道筋に伝統的な民家が残っていた。

東本町(八尾市)2012.03.07     F6
昔は寺内町だったという東本町や本町の町並みは近鉄八尾駅から至近距離にある。駅東で電車のガードをくぐる広い道を南へ進み、すぐ横道にそれると、狭い道路沿いに土蔵が顔を出す。何となく「ここから先に古い町並みがありますよ」という雰囲気がする。事実、この道を進むと茅葺きの和菓子店「與兵衛桃林堂」の前へ出る。

「與兵衛桃林堂」(八尾市東本町)2012.03.07     F6
この日も近鉄八尾駅の南側にある茅葺き屋根の和菓子屋さんを訪ねた。この建物を描くのは3回目だが、屋根が葺き替えられてきれいになった。それだけではなくよく見ると、以前は「桃林堂」の店舗だったが、いつの間にか「與兵衛桃林堂」という店の店舗となっていた。ネットで確かめると経営者は同じだが別経営という。扱い商品も以前とは変わったようである。

桃林堂A(八尾市東本町)06.03.11    36×51cm
和菓子の老舗・桃林堂の建物を描いたのは05年の夏である(下の絵)。ところが、この建物での販売をやめたと聞いたので再び出かけてみた。白い暖簾は下ろされ代わりにオーナーの表札がかかっていた。同じ市内に立派な農園と庭園つきの本社工場があり機能をそちらに統合されたらしい。事情はよく知らないがこの建物を店舗として使うにはやはり何かと大変だっだのだろうと想像している。

桃林堂@(八尾市東本町)05.08.10    36×51cm
近鉄八尾駅のすぐ南・東本町にある和菓子店「桃林堂」の本店の建物が古くて絵になるという話を聞いていた。しかし、実際に見るまで大和棟造の茅葺き屋根とは想像していなかった。前の道は旧街道らしく、道端に道標も建っていた。元は河内木綿の問屋だった建物で、大正時代から今の和菓子屋の店舗として使われているという。99年に国の登録文化財に指定されている。

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