大阪府

山王(大阪市西成区)

西成区の北東部に位置する山王は1〜3丁目からなり、1、2丁目は細い路地が入り組む昔ながらの商店街や長屋が建ち並び、昭和か大正を思わせる町並みが続いている。この辺りには戦前から戦後にかけて数多くの芸人が住み、大阪市に合併される前の天王寺村の名前を引き継ぎ「てんのじ村」と呼ばれていたそうで、1丁目にその記念」が建っている。南に下がった3丁目には大正時代から続く日本最大級の旧遊郭・飛田新地がある。


   
   山王1丁目(大阪市西成区)17.03.04     F6  
  大阪市美術館へ出かけたついでに周辺を歩いて、このスケッチポイントを見つけた。古い家並みの向こうに現代的な「あべのハルカス」がヌッと顔を覗かせている。この日は夕方から梅田で飲み会があるので、早めに出かけ、大きく回り道をしてスケッチした。  
 
 
   
  「てんのじ村記念碑」あたり(大阪市西成区山王1丁目)17.03.11     F6   
  山王1丁目の高速道路の下みたいな所に「上方演芸発祥之地・てんのじ村記念碑」が建っている。戦前から戦後にかけてこの辺りに舞台芸人が大勢住んでおり、「てんのじ村」とよばれていたそうで、それを後世に伝えるための碑である。しかし残念ながら周囲は厳重に金網のフェンスで囲まれていて近づくこともできない。記念碑は絵に入らなかったが、その前にいかにも時代がかった旅館があったので、それに焦点を当てた。旅館の隣りにある質屋の看板がやけに目立つ場所である。  
 
                       多分05年に描いたと思われる「てんのじ村記念碑」。F3 
 
 
 
鯛よし百番(大阪市西成区山王3丁目)09.10.11    36×51cm
飛田新地にある料亭「鯛よし百番」の建物を一度描いてみたいと思っていた。大正時代の建築で2000年に国の登録有形文化財となっている。新世界で開かれた悠彩会スケッチ会のいわば2次会で「飛田へ行ってみるか」との話がまとまり、仲間と5人で出かけてみた。「みんなで渡れば…」の心境である。鯛よし百番の隣の不動産屋のご主人が出てきて「ここでスケッチする人は初めて」という。そんなことはないと思うが、まあ物好きな行為に違いない。遊郭建築独特のディテールのスケッチにてこずっているうちに、周辺の店には次々となまめかしい灯がともった。

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