大阪府

「樫田」地区(高槻市田能、二料、中畑)

高槻市北部、京都府亀岡市へ通じる府道沿いに「田能」という集落がある。小さな盆地のような地形で、この府道をよく利用したため、いつかはスケッチしたいと思っていた。田能地区の地名は高槻市田能○○となっており、バス停表示も「田能」。しかしこの地区にある小学校は「樫田小学校」といい、農協も郵便局も「樫田」の名前が付いている。不思議に思って調べてみた。以前この地区は「京都府南桑田郡樫田村」といったが、1958(昭和33)年4月に府境を越えて高槻市と合併したという。このため古い地名の「田能」が残り、明治時代の樫田村発足時にできた合成地名の「樫田」は地名としては消えた。しかし田能や周辺の二料、中畑などの集落を含めた旧樫田村地域を「樫田地区」と呼ぶ習わしは今でも残っているようだ。

   
  黄金色の田能(大阪府高槻市)19.09.14    F6  
  亀岡市へ黄金色の田んぼを描きに行った帰り、いっそのことと思い亀岡と高槻を結ぶ府道沿いにある田能へ行った。少し前、ひまつぶしさんが高槻市の原地区へ行き、まだ田んぼが少し緑色だったといわれていたので、原と同じ芥川沿いで、原より川の上流にある田能なら黄金色の田んぼ間違いなしと予想した。行ってみるとまさに稲刈りの真っ最中で、あちらこちらの田んぼが次々に裸になっていく。日陰を見つけて座ったが、目の前の田んぼに稲がないと寂しいので、1枚だけ稲を復元しておいた。  
 
 
   
  「二料山荘」付近(高槻市二料)19.09.14    F6   
  田能からそれほど遠くない二料に、昔の造り酒屋の建物を利用した「二料山荘」という宿泊施設がある。かなり遅い時間だが、暑さを心配する必要もなくなったので、もう1枚欲張ることにした。以前、反対側から山荘の建物そのものに焦点を当てて描いたことがあるが、今回はその周辺の家も入れて描くことにした。残念ながら近くには田んぼもないので、黄色の田んぼを描くというこの日のテーマはお預け。「二料山荘」は宿泊施設とのことだが、どうやら現在は普通の宿泊客は受け入れていないようだった。  
 
 
田能・田植えのころ(高槻市)2014.05.16     36×51p
この日は水の入った田んぼのある風景を描きたくなり、高槻市北部にある二料、田能、中畑の3地区と京都市西京区大原野を訪れた。大阪府は近隣府県に比べ田植えの時期が遅いが、田能は山間部のため田植え時期が若干早い。狙い通りで、行ってみると周辺の田んぼではちょうど田植えの真っ最中だった。田能では4年前の同じ時期にもスケッチしたことがあるが、今回再訪して驚いた。鹿の被害が増えたのだろうか。すべての田んぼに防護網が張り巡らされている。スケッチ場所が制限されるようになったが、小高い丘に上り木陰を選んで椅子を置いた。

二料(高槻市)2014.05.16     F6
田能の西に二料という集落がある。昔の酒蔵を活用した「二料山荘」という宿泊施設を描いたことがあるが、その前をやり過ごし、さらに少し車を走らせると二料集落へ着く。高槻市バスが日に3便ほどこの村まで来ているようだが、細流に沿ったいかにも山の中の集落である。川沿いに家々がひしめく風景も日本の農村の原風景といえる。

中畑(高槻市)2014.05.16     F6
田能から京都市の大原野へ向けてしばらく車を走らせていると、中畑というのどかな集落へ出た。道路沿いに茅葺のかわいい門を構えた絵になりそうなお宅があり、その前の田んぼはすでに田植えが済んでいるため、車を止めてスケッチした。

田能@(高槻市)10.05.21   36×51cm
久しぶりに「田能」地区を通り、すでに田植えが終わっているのを知り、後日、わざわざ出かけてみた。暑い日なので日影で描け、しかも家並みが面白く、水を張った田んぼも見えるというアングルを探すのに苦労した。周囲を見渡して、ようやく理想的な場所を見つけたが、着色に手間取っているうちに、日影はすっかりなくなり、日向にあぶり出された。

田能A(高槻市)10.05.21        F6
2枚目を描こうと思ったが、昼ごろの時間帯のため日影が見つからない。今年初めて麦わら帽子をかぶっていたので、半ばやけくそで日向で描くことにし、いかにも旧家という土蔵のある家に焦点を当てた。緩い坂になった地道の感じがいい。周囲全体がむんむんとするほどの若葉に包まれていた。

田能B(高槻市)10.05.21        F6
3枚目になるともうやけくそ。太陽を正面から浴びながら逆光気味の風景を描いた。スケッチしていると田んぼ道を樫田小学校の生徒がぞろぞろ通る。校外学習かなんかで山へ行っていたらしい。恵まれた教育環境である。

二料山荘(高槻市二料)10.05.21        F6
田能でのスケッチに飽きたので、別の場所移動することにした。地図を見ると、田能の西に「二料」という集落があり、そこを抜けると茨木市へ出られる。車を走らせていると、道路沿いにすごい建物が現れた。外見はいかにも現役の酒蔵だが、宿泊施設になっているらしい。門前の看板によると1943年(昭和18年)まで酒造りをしていた旧家の建物を活用して「二料山荘」という宿にしたそうである。

高槻市唐崎へ
「近畿の旅2」(大阪、和歌山)の目次へ