大阪府  
 
 
   昭和町駅付近(大阪市阿倍野区)  
 
 
  大阪市営地下鉄御堂筋線の昭和町駅周辺は戦災を免れたため戦前の古い建物も残っている。南北に走るあびこ筋の西側が阪南町、東側が昭和町でともに大正末期から昭和初期に大阪市の人口が東京市を上回り「大大阪」と呼ばれた時代に、今でいうニュータウンとして開発された。碁盤の目に区画整理された街路に沿って、棟割長屋がずらっと並んでいたというまた昭和町の東、桃が池町には、古い歴史を誇る桃ヶ池がある。  
 
 
   
  「寺西長屋」(大阪市阿倍野区阪南町1丁目)17.02.16     F6     
  戸籍謄本を見ると私の出生地は大阪市阿倍野区阪南町である。すぐに転居したそうで、もちろん記憶にはなく、旧町名表示なので、今は何丁目何番地に当たるかも知らなかった。地下鉄昭和町駅からすぐの阪南町1丁目に登録文化財の長屋があると聞いて出かけた。「住んでいたのはこんな長屋かな」と思いながらスケッチしていると、この長屋の家主で、向かいに住んでおられる寺西興一氏が出てこられた。取り壊し予定だった長屋の保存・再生を思い立ち、今はすべて飲食店として活用されている。話しているうちに出生地の話になり、ご親切にも旧町名が載った阿倍野区の古い地図のコピーを持ってきて下さった。お陰で、この後、出生地を確認できた。  
 
 
   
   阪南町の長屋(大阪市阿倍野区阪南町1丁目)17.02.16     F6  
  「寺西長屋」のすぐ近くにもう1軒、似たような長屋があった。長屋の南側が小さな公園になっており、その公園から描けるため、スケッチ環境が極めて良い。こちらの方は今でも住居として使われているようで、有名ではないもののこれが本来の姿かなと思いながら描いた。この後、出生地に向けて南に歩いたが、小規模ながらほかにも何軒か長屋が残っていた。  
 
 
   
  桃ヶ池(大阪市阿倍野区桃ヶ池町)17.02.16     36×51㎝  
  昭和町駅界隈へ出かけたのは悠彩会仲間のOさんがこの近くで4人展を開かれたのはきっかっけ。会場で話しているうちにスケッチポイントとして「桃ヶ池」や「寺西長屋」の存在を教えてもらった。桃ヶ池は周辺一帯が公園として整備されており、けっこう有名だそうだが、この辺りに土地勘のない私はその存在すら知らなかった。この池に棲んでいた大蛇を聖徳太子が退治したという言い伝えがあるそうだが、その水面に現代の象徴ともいえる日本一のノッポビル「あべのハルカス」がしっかりとその影を映していた。  
 
 
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