大阪府

長谷ほか(能勢町)

大阪府の最北端にある能勢町の長谷(ながたに)地区は、よく整備された棚田と能勢型と呼ばれる茅葺き民家で知られる。国道173号線から分かれて細い山道を登っていくと、あちらこちらにスケッチブックを広げたくなる雄大な景色が広がっていた。

   
  長谷の棚田17−1(能勢町)2017.09.21    36×51p  
  いつもご夫妻で仲良くスケッチをされているKさん(私ではありません)のブログを見ていたら、黄金色に輝く能勢・長谷(ながたに)の棚田の作品が掲載されていた。悠彩会展が近いし、出展作が描ければいいなと思い、思い立って車を走らせてみた。どっこい、長谷に近づくと周辺のほとんどの田んぼはすでに稲刈りが終わっているではないか。自宅付近の田んぼはまだ緑色だが、同じ大阪府でも稲刈り時期が随分違うと再認識した。以前にも描いたベストポイントへ行ったが、残念ながら稲が残っている田んぼは1枚もなかった。帰宅してKさんご夫妻のブログを確かめると、日付は2週間も前であった。  
 
 
   
  長谷の棚田17−2(能勢町長谷)2017.09.21    F6  
  最初にスケッチした場所から棚田の上の方に茅葺き屋根の家が1軒見えた。息を切らしながら急な坂道を上ってみると、周辺の棚田との組み合わせが面白い。しかも、何枚かの田んぼにはまだ稲が残っている。少し日射しはきつかったが、道端に座って描いた。長谷集落の一番高いところにあるお宅であった。  
 
 
   
  長谷の棚田17−3(能勢町長谷)2017.09.21    F6  
  さらに坂道を上って、茅葺き屋根のお宅が間近に見える一番高い棚田まできた。とても形の良い三日月型の棚田が連なっている。ところが残念なことに獣避けのフェンスが厳重に張られ、しかもそれに草などが絡みついて見通しがきかず、スケッチすることができない。仕方なく背伸びして風景をカメラの収め、それを絵にした。最近は獣害が深刻になり、獣避けフェンスが張り巡らされている田んぼが増えてきた。こうした場所で農作物を作っておられる農家の苦労話もよく聞く。その苦労を思えば、スケッチしにくいなどとは言えない。  
 
 
   
  長谷の棚田17−4(能勢町長谷)2017.09.21    F6  
  棚田の中の坂道を下り、今度は棚田を見上げるアングルで描いてみた。全体が逆光になっており、細部はよく見えないが、何となしに棚田の広がりが表現できれば良いと思って描いた。先ほど描いた茅葺き屋根のお宅は画面の左上のさらに一段高い所にある。  
 
 
   
  長谷の田んぼ(能勢町長谷)2017.09.21    F6   
  長谷は自宅から結構遠い。せっかくはるばるやって来たのだから、せめて黄金色の田んぼを描きたいと思った。稲刈りがまだ済んでいない田んぼを探し、棚田とは反対側にある家並みとの組み合わせを描いた。  
 
 
長谷の棚田15−1(能勢町長谷)    2015.08.18     36×51cm
『どこか涼しくスケッチできる所はないか』と考えて、少し遠いが大阪府能勢町の長谷へ出かけた。長谷へは、ちょうど10年前の8月に悠彩会スケッチ会で行ったことがあり、下の絵に『鼻歌交じりで気持ちよくスケッチした』とコメントしている。棚田を眺めるベストアングルの道路の背後に杉林があり、ほぼ終日、日陰になっている。車もすぐそばの木陰に止められた。鼻歌こそ出なかったが、極めて快適にスケッチした。ただし、前回とまったく同じアングルの絵になってしまった。

長谷の棚田15−2(能勢町長谷)    2015.08.18     F6 
上の1枚目のスケッチで、中央に形の良い茅葺民家が見えた。1軒の家で2棟がともに茅葺という珍しい建物である。この建物をもう少しアップで描きたいと思い日陰を探した。田んぼの周辺には「危険」との表示の出た動物除けの電線が張られ、スケッチ場所も限られる。1カ所だけ快適そうな木陰があった。主役の茅葺民家のほかにも、遠くに元茅葺屋根の民家が見え、長谷の雰囲気はとらえられたと思う。このあと、集落の上の方まで坂道を登ってみたが、他には日陰から描ける場所は見当たらず『また涼しい季節に』と思わざるを得なかった。

神山、垂水(能勢町)    2015.08.18     25×41p 
長谷は山の斜面に広がる棚田の集落だが、その周辺は広々とした平野で、周囲の山裾に昔ながらの家並みが続いている。どこか涼しくスケッチできる場所はないかときょろきょろしながら車を走らせた。危険な行為だが事故も起こさず、稲地(いなぢ)という地区で日陰から描ける場所を見つけ、遠くに見える家並みを描いた。帰宅後に地図で確認すると絵の左半分が神山(こやま)、少し遠くにある右半分が垂水(たるみ)という集落だった。すべてトタンカバーがかかっているが、元茅葺民家がずらりと並んでいる。

平通(能勢町)    2015.08.18     28×46cm 
能勢町を南北に貫いている国道173号。トンネルが連続する一庫(ひとくら)ダム沿いを過ぎ、能勢町に入ったところで、ちょっと繁華な場所に出た。往路でその場所から東側の山の斜面に広がる集落が見え、印象に残っていたので、帰りに車を止めてみた。じっくり眺めてみると、新しい住宅が多く、とくに描きたくなるほどの景色ではなかったが、時間もまだ早いので国道脇の日陰に座って描いた。帰宅後に地図を見ると、椅子を置いた場所は下田という地区で、山の斜面の家並みは平通(ひらどおり)というらしい。

長谷の棚田(能勢町長谷)05.08.20      36×51cm
棚田が広がる長谷を会場に悠彩会のスケッチ会が開かれた。幹事から「日陰はないよ」とおどされていたが、杉林の深い影がある場所を見つけて、鼻歌交じりで気持ちよくスケッチした。稲は早稲種らしく、すでにすっかり穂を出し、刈り入れも近そうだった。カメラを手にした人たちの姿も目立った。

引き続き和歌山県へ和歌山県和歌山市ぶらくり丁へ
「近畿の旅2」(大阪、和歌山)の目次へ