大阪府

鴻池新田会所(東大阪市鴻池元町)

自宅最寄り駅から電車で10分程度のJR鴻池新田駅前に「鴻池新田会所」という重要文化財指定の建物がある。江戸時代の大阪を代表する商人であった鴻池家は大和川付け変え工事(1704年=宝永元年)後に200町歩の新田開発を行ったが、その経営拠点だったのが鴻池新田会所。高架になっている電車の窓から屋敷全体を見下ろすことができ、一度は描いてもいいと思っていた。

鴻池新田会所@(東大阪市鴻池元町)11.11.02     F6
こうした施設の敷地内でスケッチが可能かどうかは知らなかった。最近、スケッチ禁止という寺社なども多いので、恐る恐る受付で聞くと「どうぞどうぞ。水道も自由に使ってください」という。というわけで入場料300円を払い、年代物のクスノキの下を選んで、会所の本屋をまず1枚。

鴻池新田会所A(東大阪市鴻池元町)11.11.02     36×51cm
場所を変えて鴻池新田会所・本屋の2枚目を描いた。受付でもらったパンフによると、鴻池家は幕末のころには「大坂の富の八分は今橋(鴻池家の本拠があった場所)にあり」と言われるほどの財力があり、金融業と新田経営をその事業の2本柱にしていた。金融業では大名貸しをしていたが、明治以降、第十三国立銀行を設立した。同行は鴻池銀行→三和銀行→UFJ銀行→三菱東京UFJ銀行となって、現在に至っている。

鴻池新田会所B(東大阪市鴻池元町)11.11.02     F6
鴻池新田会所の敷地でスケッチしていると昼になった。再入場も可ということなので、駅前まで行って昼食を済ませ、もう1枚描くことにした。公開されている古い民家で内部の壮大な木組みを目にすることがあるが、まだ描いたことはない。再入場の時、受付で「土間でのスケッチはダメでしょうね」と聞くと「いいですよ」とおおらかな返事。昔、このあたりでは「河内木綿」の栽培が盛んだったが、座敷では見学にやってきた中学生が糸紡ぎの体験学習をしていた。建物の外観は無数に描いているが、内部は初体験。薄暗い中で、屋根裏を見上げながら鉛筆を走らせたが、さすがに難しい。

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