大阪府

泉佐野(泉佐野市)

関西空港の入り口にある泉佐野市は、古くは熊野詣の街道町として栄え、江戸時代からは漁業と廻船業で発展した。とくに廻船業の規模は大きく、当時の面影を残す「いろは四十八蔵」の一部が今でも残っていた。堺、岸和田、貝塚などのように計画的に造られた町ではなく、無秩序に発展したため、迷路のような細い道が入り組み、古い家並みもかなり残っている。


旧佐野町役場付近(泉佐野市本町)2013.11.09      F6
悠彩会の2013年11月度スケッチ会が、泉佐野市中心部で開かれた。私自身、大阪府南部ではスケッチ経験が少なく、南海電車・泉佐野駅で降りるのも初めて。駅前に集合、商店街になっている紀州街道を越えたところにある「本町」へ案内された。幹事のMさんが入念に下調べした結果、本町は泉佐野市になる前の佐野町の中心部で、古い家々がかなりの密度で残っているという。商店街から本町に入ってすぐところでまず1枚。Mさんが用意してくれたマップによると、右側の木造洋館は旧佐野町役場だそうだ。

「大将軍湯」付近(泉佐野市本町)2013.11.09      25×41cm 
上の1枚目を描いた後、突き当りの交差点まで移動すると、「大将軍湯」という銭湯があった。ちょうどひまつぶしさんが描いておられたので、横に座らせてもらった。手前が空き地になっており、裏にある煙突まで見えていかにも銭湯の建物らしい。前の道路では子供たちがにぎやかに遊んでおり、生活感あふれる空間である。ネットで調べると、この銭湯は銭湯ファンの間でかなり有名な存在のようだ。内部はレトロな雰囲気で入浴料が250円という安さだという。

「円田川」(泉佐野市春日町)2013.11.09      36×51cm 
この日の悠彩会スケッチ会の目玉は、泉佐野漁港の青空市場にある食堂での昼食会だった。新鮮な地元産の魚を前に「さすがにこの食堂では産地偽装はなかろう」などと言いながら、まず乾杯。あまり飲み過ぎるとスケッチに差し支えるので、ビール1本で辛抱し、再び古い町並みへ向かった。ちょうど漁港から町並みへ入るところに、小さな川があり、橋の上からの眺めが面白いので、1枚描くことにした。この川は不思議な川で、なぜか水流が2つに分けられている。狭い方は勢いよく流れているが、幅の広い方はゆったりとして満潮時には海水が逆流するらしい。よく見るとかなり大型の魚が泳いでいた。案内マップには「円田川」とあった。

「いろは四十八蔵」あたり(泉佐野市本町)2013.11.09      F6 
泉佐野の案内マップを見ていると、旧市街の一番海側にある狭い道に「いろは蔵」という文字があった。何だろうと思い行ってみると、蔵の壁に右のようなプレートが取り付けてあった。この町が廻船業で栄えたころの遺構で、昔の海岸線と港はこのあたりにあり、出船入船で賑わっていたらしい。泉佐野の海岸部は関西国際空港の建設に伴い、りんくうタウンとして整備された。「いろは蔵」が並ぶ細い道の正面に、りんくうタウンのシンボルで、日本第2位の高さを誇る「りんくうゲートタワービル」が見えるポイントを選んでスケッチした。しかし、後で反対側から見た方が蔵の様子がよく分かり、絵になると感じた。






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