長崎県

長崎(長崎市)

観光とスケッチは両立しない。あそこを見たい、こちらにも行きたいなどと考えてしまうと、描くのが遅い私の場合、結局絵が残らない。もちろん仕事とスケッチも両立しない。長崎市をはじめ、雲仙、大村、佐世保あるいは壱岐も含め、長崎県には仕事ではもちろん、プライベートでも何回も出かけたのに、絵はたった1枚しかない。それだけ長崎は観光という面で魅力的な土地柄といえよう。
さて、それから23年後、夫婦で再び長崎の町を訪問した。九州各県の中で、長崎の県のスケッチ枚数が一番少ないというのがスケッチ場所に長崎を選んだ理由だが、2020年は新型コロナウイルス禍で旅行も制限される中、「GoToトラベル」という政府の補助策に乗っかった形で、3泊4日の割安旅行が実現した。、

   
  諏訪神社(長崎市)2020.11.13   F6  
  今年はコロナウイルス禍の影響もあり遠方でのスケッチチャンスがなかったため、年の締めくくりに長崎市へスケッチだけを目的に出かけた。3泊4日のパック旅行だが、「GoToトラベル」キャンペーンの適用となり、割安旅行となった。長崎到着後、駅に荷物を預けて路面電車で諏訪神社へ。長崎くんちで知られる神社だけにお参りする人も多かった。ただ上まで上る元気がなく石段下から鳥居に焦点を当てて描いた。  
 
 
   
  眼鏡橋(長崎市)2020.11.13   F6  
  長崎での2枚目は諏訪神社から路面電車で2駅のところにある「眼鏡橋」を描いた。中島川に石造りのアーチ橋がずらりと架かっており、一本下流の「袋橋」の上からだと橋桁の映り込みを含めて見事な眼鏡状に見える。1960(昭和35)年に国の重用文化財に指定された。  
 
 
   
  袋橋と眼鏡橋(長崎市)2020.11.13   F6  
  眼鏡橋を描いた袋橋の下へ降りると、二つの橋のアーチの組み合わせが面白いのでもう1枚描いた。まだ陽は高いが、今朝自宅を出たのが早かったため、これでスケッチは打ち止めにしてホテルへ引き揚げることにした。宿泊するホテルは長崎駅から見上げた山の上の方にあり、ホテルからの眺めが楽しみである。  
 
 
   
  大浦天主堂(長崎市)2020.11.14   F6  
  長崎スケッチ2日目の14日は、大浦天主堂とグラバー園周辺で過ごすことにした。宿泊したホテルは山の上にあるため、長崎駅まではホテルの送迎バスに乗る必要があるが、市内の移動は路面電車が極めて便利である。大浦天主堂電停で下車、だらだら坂を上って、天主堂を正面から描いた。修学旅行と思われる団体が目立つ。  
 
 
   
  グラバー園より東山手方面(長崎市)2020.11.14   36×51p  
  大浦天主堂を描いた後、グラバー園へ入った。園内でのスケッチには許可がいるとかで、許可証を首に掛けてのスケッチとなった。長崎の街は住宅が山々に駆け上る坂の街で、ぜひその様子を描きたいと思っていたが、グラバー園の一画から東山手と呼ばれる坂の街が見渡せた。左側のビルは活水女子大学や海星学園などの学校で、その下の方には重伝建に選定されている東山手洋風住宅街も見える。  
 
 
   
  グラバー園より長崎湾と稲佐山(長崎市)2020.11.14   F6  
  グラバー園の目玉施設であるグラバー邸は修復工事中で建物全体にカバーが掛かっており、絵にならない。その下手に展望台があったので上ってみた。正面に三菱重工の工場や長崎有数の展望スポットである稲佐山が見える。手前の長崎湾の海の色がいかにも綺麗だったが、残念ながらその色が再現できなかった。  
 
 
   
  孔子廟(長崎市)2020.11.14   F6  
  グラバー園を出て電車通を渡ったところに「孔子廟」があった。塀の外からみても目をむく派手さだが、入場料を払って敷地内に入り近くから建物全体を見上げるといかにも迫力がある。  
 
 
   
  オランダ坂通への階段(長崎市)2020.11.14   F6   
  東山手に「オランダ坂」とその坂に通じる「オランダ坂通」がある。孔子廟からすぐのところに急な階段があり、階段を上るとオランダ坂通である。何の変哲もない風景だが、坂の街・長崎の一風景だと思い、スケッチブックを広げた。  
 
 
   
  東山手洋風住宅街(長崎市)2020.11.14   F6  
  オランダ坂通を進むと通の下側に洋風住宅がずらりと並んでいる。国の重要伝統的建造物群保存地区にも選定されている地区の一角で、江戸期から明治にかけて居留地として栄えた。住宅としては表側からの方が特徴があるが、一列に並んでいて面白くないので、変化のある住宅の裏側を道路から立ち描きした。  
 
 
   
  長崎港と長崎駅付近(長崎市)2020.11.15   36×51p  
  今回の長崎行きで事前の予想と一番違ったのが、ホテルの部屋だった。ツアーの案内書では「部屋は山側」となっていたので、小さな窓の付いた山側の部屋を覚悟していたが、実際に案内されてみると、部屋は海側に向いており、しかも部屋の幅一杯の大型の窓がついていた。当然、部屋に居ながらにして素晴しい展望が得られ、夜になると世界一だか日本一という夜景を3夜にわたり堪能することが出来た。3日目の朝、出発を少し遅らせて、せっかくだから部屋からの眺めをスケッチした。長崎港と周辺の市街地が一望でき、特に新幹線開通に向け大改造中の長崎駅が眼下に見える。  
 
 
   
  出島(長崎市)2020.11.15   F6  
  長崎駅前から路面電車で市内のスケッチポイントへ向かうとき「出島」のそばを通ることが多い。この日のスケッチはその出島からスタートした。現在は出島全体が市街地の中に埋もれているが、古い建物が復元され、水路越しに見ると古い町並みらしく見える。  
 
 
   
  長崎新地中華街(長崎市)2020.11.15   F6  
  「出島」から近距離に「長崎新地中華街」がある。ずいぶん昔、一度ここで食事をした記憶があるが、横浜、神戸の中華街に比べ、規模は一番小さいものの、歴史は最も古いという。街の北側の入り口に建つ玄武門を描いた。門前の広場では多くの人が思い思いに時間を過ごしている。  
 
 
   
  「丸山町交番」(長崎市)2020.11.15   F6  
  この日の最後に旧遊郭街の丸山町へ行った。町へ入って行くと「丸山町交番」の洒落た建物が目に付いた。いかにも旧遊郭街らしい建物という気がして、記念にスケッチした。右側の木立が「丸山公園」でその奥手に、有名な料亭「花月」がある。また交番の少し手前には、以前、長崎で唯一スケッチしているカステラの「福砂屋」の店舗があり、Fさんはお土産の調達に時間をかけていた。  
 
 
   
  丸山町の料亭(長崎市)2020.11.15   F6  
  「丸山町交番」の建物を描いた後、料亭「花月」や「長崎検番」を描こうかと検討したが、もう一つ絵になりにくいので、その突き当たりにある石段と料亭の組み合わせを描いた。軒の赤い提灯が花街らしさを物語っている。これで長崎のスケッチはお終い。4日目の16日はスケッチは止めて、「平和公園」や「原爆爆心地」などを訪問、午後は早めに福岡に移動した。  
 
 
思案橋(長崎市)97・05・18 ワトソンF8
「思案橋」は長崎を代表する繁華街の片隅にある。その奥に「丸山遊郭」があり、行こうかやめようかと思案した場所という。歴史的にも有名な料亭・花月で会合があり、少し早めに出かけてこの絵を描いた。その点では仕事と両立させた数少ないスケッチである。遊郭を描こうかとかなり歩き回ったが、結局、思案橋のたもとにあるカステラの老舗を描いた。観光客に何回も道を聞かれた。

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