愛媛県

大洲(大洲市)

大きく蛇行して流れる肱川沿いに位置する大洲は大洲藩の城下町として栄え「伊予の小京都」と呼ばれている。この町の魅力は司馬遼太郎氏の街道をゆくシリーズの「南伊予・西土佐の道」で知った。今回訪問してみると、司馬氏が市当局のセンスを疑うとして酷評していた大洲市民会館の建物はしっかりと存在感を主張していたが、司馬氏が激賞した旅館・油屋の建物は取り壊されていた。全国的にも珍しい4層4階の大洲城天守閣は市民の寄付などにより2004年に復元されたという。

雨の「おはなはん通り」(大洲市大洲)2013.06.09        F6
この日の昼前に西予市・卯之町から大洲市へ移動した。雨が止みそうにないので、そのまま自宅へ直行も考えたが、せっかく遠くまで来たのだし、いざとなれば肱川に架かる肱川橋の下に入って、鵜飼船でも描けばよいと思った。とりあえずこの町で一番有名な「おはなはん通り」へ行ってみると、すぐに雨に濡れずに描ける場所が見つかったではないか。「おはなはん通り」はもともと裏町三丁目という城下町の中心地だったそうで、1966年(昭和41年)に放映されたNHK朝ドラ「おはなはん」のロケ地として知られるようになった。微妙に剥げ落ちた白壁がこの通りの魅力だったが、最近、きれいに塗り直され、風情がなくなったと聞いていた。しかし雨宿りできるポイントから見える建物の壁はまだ傷んだままだった。

大洲・明治の家並み(大洲市大洲)2013.06.09        F6 
「おはなはん通り」のすぐそば、大洲神社の鳥居前に「明治の家並み」と呼ばれている一画がある。前の日にこの場所を訪れた七ちょめさんから、白壁の剥がれかけた家がそのまま残っていると聞いたので、行ってみた。ちょうど大きな貸しガレージがあり、ここに入ると雨に濡れずにスケッチできる。ガレージ内から見た様子は右の写真の通りで、カメラならどうしようもないが、そこはスケッチの強みで、不要なものを省いて描いた。とはいえ、この建物は少し傷み過ぎている。たまたま観光客を案内してきたガイドの説明が聞こえた。「持ち主の方が住んでおられないので、行政も手が出せないのです」とか。町並み保存の難しい所である。




城下町・大洲(大洲市大洲)2013.06.09        F6
大洲は映画「男はつらいよ第19作・寅次郎と殿様」の舞台ともなった。2枚描いたところで雨が上がったので、締めくくりに城下町らしい風景を描こうと、その寅さん映画の撮影が行われた「お殿様公園」付近へ行った。この公園は大洲藩主だった加藤家ゆかりの住居跡を整備したもので、その公園のそばから天守閣が遠望できることを事前にストリートビューで確認していた。「寅次郎と殿様」は寅さんがこの屋敷に住んでいる殿様の末裔と出会うという設定で、絵の右側の白い塀がその「お殿様公園」のもの。すぐ後ろに大洲高校があり、日曜日とあって部活帰りの生徒が通りかかったので、その姿を描き込んでおいた。

愛媛県内子町へ
「中国・四国の旅」の目次へ