愛媛県

内子(内子町)

内子は木蝋や和紙の生産で栄え、「八日市・護国の町並み」として1982年(昭和57年)4月、四国で最初に重要伝統的建造物群保存地区に選定された。木蝋で財を成した本芳我(はが)家、上芳我家や大村家といった国指定重要文化財の建物のほか伝統的な家屋が、緩やかにカーブした約600メートルの坂道の両側に建ち並び、いかにも魅力的な町並みを構成している。

本芳我家あたり(内子町内子)2013.06.08        36×51cm
愛媛スケッチ旅行の2日目、朝一番に松山市から内子町へ移動した。とりあえず町並みを往復し、日陰があって、この町を代表する本芳我家と大村家が並ぶあたりを描いた。町並みの一番奥にある駐車場に団体バスが着くたびに、観光客がぞろぞろとやってくる。






町家資料館あたり(内子町内子)2013.06.08        F6 
商店街の本町通から「八日市・護国の町並み」へ入ったあたりが坂道になっていて、絵になる構図である。この絵の左側の1軒が「町家資料館」として公開されており、右側には派手な袖うだつのある家が並んでいる。午後になれば道の左側に日陰ができそうだが、そんな悠長なことも言っておられないので、陽にさらされながらスケッチした。椅子を置いた場所の家の人が親切に「暑いから軒下でどうぞ…」と声をかけてくれたが、やはりアングルを優先した。

上芳我家(内子町内子)2013.06.08        F6
もう1軒の重要文化財・上芳我(かみはが)家も木蝋の生産で財を成したが、現在は「木蝋資料館」として公開されている。浅黄色と白の漆喰で塗られたこの家の妻壁のデザインがとても特徴的で、写真などでよく紹介されており、ぜひスケッチしたいと思っていた。表通りからではよく見えないので、係の人に庭に入ってスケッチしてもよいか聞くと「いいですよ」との返事。資料館の入場料500円を払おうとしたら「庭だけなら、無料です」とのこと。しかも、椅子を置いた向かい側の蔵の入り口には、軒下に深い日陰まであり、至れり尽くせりであった。

ギャラリーいもん(内子町内子)2013.06.08        F6
上芳我家の並びに町家美術民芸館「ギャラリーいもん」があった。同ギャラリーの館長は、今回、松山で会った友人と同じ会社に勤めていた人で大学も同窓という。事前に私が内子へスケッチに行くかもしれないという連絡が入っていたそうで、歓待していただいた。お礼に建物のスケッチをしたかったが、この後の予定もあったので、写真を撮り帰宅後絵にした。同ギャラリーはもともと上芳我家の分家・中芳我家の主屋だった建物で、現在は画家でもあった館長の父君の油彩画や民芸品のコレクションなどが展示されている。父君は内子の町並み保存を最初に提唱され、それが重伝建への選定につながった。

内子座(内子町内子)2013.06.08        F6
この日は土曜日とあって午後になると、町のあちらこちらでスケッチする人を見かけるようになった。内子でのスケッチの最後に、ぜひ描きたいと思っていた「内子座」の前へ行った。この建物はスケッチできるポイントが限られており、ベストポイントはすでに先客2人に占領されていた。仕方なしに裏手へ回って、資材置き場からの遠望で妥協した。幸いおあつらえ向きに深い木陰があった。この後、内子駅で同行のFさんと別れ、次の目的地である西予市宇和町卯之町へ向かった。

                                               
                                                   
内子座の座布団。(Fさん画)

愛媛県松山市道後温泉へ
「中国・四国の旅」の目次へ