東京都

本郷(東京都文京区)


町並み歩きグループの「いらかぐみ」は毎年1回オフ会を開催しているが、今年は東京を舞台にすることになった。夕方5時に東京大学に近い本郷の古い旅館「鳳明館」に集合、みんなでワイワイやろうというスケジュールである。それまでの時間を私自身は初めての東京スケッチで過ごすことにし、スケッチを通じての知人であるgayohshiさんに案内してもらった。午前中に「佃」で描いた後、宿に近い「本郷」に移り、夕方までスケッチの時間に当てた。


樋口一葉旧居跡(東京都文京区本郷4丁目)09.05.30   F6

「本郷」での第1候補は樋口一葉が小説家になる前の明治23年から3年間ほど住んでいたという路地。しかしgayohshiさんに案内してもらわなかったらとてもたどり着けない分かりにくい所にあった。司馬遼太郎が「街道をゆく」で「明治にまぎれこんだよう」と表現したように、木造3階建ての家が並ぶ生活感あふれる路地で、スケッチには極めて魅力的だが、よそ様の玄関先に座り込んでスケッチするしか方法がない。今住んでおられる人は樋口一葉とは何の関係もないはずで、気兼ねしながらそそくさとスケッチした。


伊勢屋質店(東京都文京区本郷5丁目)09.05.30   F3
本郷は坂の町である。宿泊する「鳳明館」は胸突坂という急な坂を登ったところにあったが、樋口一葉旧居跡の路地を描いた後、もう少し時間があるので、胸突坂の登り口にある元質屋の建物を小さなスケッチブックに描いた。生活の苦しかった樋口一葉がたびたび利用したと伝えられている。質屋の前の道は菊坂という緩やかな坂で、以前は手前の空き地になっている場所にも古い建物があり、風情があったと教えてもらった。

本郷館(東京都文京区本郷6丁目)09.05.31   F6 





江戸時代の本郷は大名や旗本などの屋敷町だったが、明治になって加賀前田家の上屋敷跡地に東京大学ができ、以降、大学とともに町が発展してきた。いらかぐみメンバーの案内で、宿の周辺を探索したが、そのなかで本郷6丁目にあった古くからの下宿屋「本郷館」がとくに印象に残った。明治38年の建築というから関東大震災、太平洋戦争という2度の荒波を潜り抜けた木造3階建ての巨大建築である。取り壊しの方針が決まっているが、保存してほしいとの声もまた強いようである。北西の方向から見上げると、建物の隅はこの絵のように鋭角にそびえ立っていた。

(2011年夏に取り壊され、跡地には同名のマンションが建っているとか)


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