徳島県

脇町(美馬市)

「四国三郎」と呼ばれる吉野川は暴れん坊だが、流域に豊かな農地を作り、これをベースにした産業が栄えた。「うだつ」で有名な脇町は藍の生産で財を成し、見事な「うだつ」を揚げた。1994年7月に脇町と貞光町に焦点を合わせスケッチに出かけた。それから15年後の09年9月に再び脇町を訪問した。05年3月1日付で脇町など3町1村が合併、美馬市となった。

脇町・南町B(美馬市)09.09.06   F6
脇町・南町通りは真っすぐな一本道で、スケッチするには面白みが少ない。1カ個所だけちょっとした坂になり、道も曲がっている場所があり、変化のある構図が得られるので、最後の1枚に選んだ。突き当たりにアクセントとなる古井戸まであるが、肝心の「うだつ」はちょうど木の陰になってよく見えないのが欠点。観光客の姿も減ったが、車で10分ほどの所に宿を取っているので、気分的にはずいぶんゆったりと描いた。

脇町・茶の子町(美馬市)09.09.06    36×51cm
南町通りの途中から「茶の子町」という小路が分かれている。昔、脇町に商いに来た商人が休憩などをした場所のため、こう呼ばれるそうだが、行ってみると見事な白壁の長屋門が並び、そんな雰囲気はない。これらの家々の屋敷は南町通りまで続き、南町通り側には「うだつ」も揚がっていて、この立派な長屋門はいわば裏口、勝手口。脇町の奥の深さを感じた。
この場所を教えてくれた町の人によると、地元の小学生に人気のあるスケッチポイントだそうである。小路の先に見えるのが白壁造りのショッピングセンター。

















脇町は藍染に使う藍で発展した。南町通りに、店先に藍の鉢植えを置いている店があった。「家は描きたくない」というFさんがさっそくスケッチ。

藍の花(09.09.06)Fさん画

脇町・南町A(美馬市)09.09.06    36×51cm
南町通りの東の端に15年前に描いたのとまったく同じ風景が広がっていた。元呉服屋と元荒物屋の2軒が軒を連ねている一画で、その向こうに農業倉庫と脇町図書館などが並んでいる。2軒のうち呉服屋(向こう側)は江戸時代、荒物屋(手前)は明治時代の建築だそうだが、両家は互いに建物の豪華さ華麗さを競ってきたらしい。






脇町・南町@(美馬市)09.09.06    36×51cm
脇町へは実に15年ぶりである。朝早く出発したため現地着は9時ごろ。晴天との天気予報だったが、雲が厚い。これ幸いと、晴れなら日向になる道路の北側に座り、「うだつ」の見える定番の風景をまず1枚。片流れの構図で面白みはないが、いかにも重要伝統的建造物群保存地区選定の脇町・南町らしい風景ともいえる。中央の「うだつ」のある家が「国見家」といい、この町で建築年代が一番古いとの説明板が立っていた。

脇(脇町) 94・07・03     F8
脇町の「うだつ」は近畿地方や中部地方にあるそれとはかなり形状が異なる。この町も町並み整備の結果、多くの観光客を集めているが、ある意味では博物館入り状態ともいえる。

写真を見ると自転車が写っている。当時、折りたたみ自転車を車のトランクに積んでスケッチに出かけていた。目的地に着くとまず自転車で町を一周、これはと思うポイントを探していた。道幅が狭い古い町では自転車は重宝したものだ。絵の道具がちょっと大型化したため、今は自転車は自宅で埃をかぶっている。
この時はFさんが自転車に乗って、ずいぶん広範囲に町並み探索をしていた。

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