静岡県

松崎(松崎町)

町並み探索グループ「いらかぐみ」の07年度(第5回)オフ会が西伊豆の港町・松崎で開かれた。下田から婆娑羅(ばさら)峠を越えて松崎へ。松崎は江戸時代に太平洋岸では数少ない風待ち港、潮待ち港として繁栄した。また当時から漁業や水産加工業も盛んだったという。町を歩くと江戸末期から明治にかけて建てられた「なまこ壁」の民家が数多く残っている。またこの町出身の入江長八という左官職人が「鏝絵」の技術を極め、町内に「長八美術館」がある。

なまこ壁通り(松崎町松崎)07.05.27 36×51cm
「山光荘」という宿に泊まったが、元は造り酒屋だったそうで、なまこ壁を巡らせ、かけ流し温泉があるとてもいい宿だった。朝、ゲタ履きでスケッチポイントを探した。宿のすぐ近くに「なまこ壁通り」との標識が立っている場所があり、松崎へ来たからにはやはりここを描かざるを得ないだろうと、覚悟した。この建物は昔、薬問屋をしていたという近藤家のものである。



画面全体になまこ壁を描くとなると気が重くなる。「いらかぐみ」のメンバーはカメラ中心のため、スケッチに手間取っているるうちにさっさと別の町へ向けて出発、一人取り残された。

(いらかぐみ・野村万訪さん撮影)

松崎港(松崎町松崎)07.05.27 31×41cm
松崎は江戸時代にとても繁昌した港町である。遠いこの町へはるばるやって来たのだから、なまこ壁だけではなく、港の風景も描きたいと思った。松崎港と沼津港を結んでいた定期航路も03年8月に廃止となり、今は単なる漁港にすぎないようだが、何となしに昔の風待ち港はこんな風だったのかと思わせるような風情があった。

静岡県下田市へ
「東海・北陸の旅」の目次へ