佐賀県

唐津(唐津市)

唐津での私のお気に入りは実は町並みではない。一番は11月初めに行われる「唐津くんち」。唐津の人はこの祭りのために1年間働くという。2番目は「虹ノ松原」。その中を通り抜けるのもよいし、鏡山の頂上から見下ろすのもよい。ただ魚屋町にある造り酒屋の建物はとても気に入って、機会あるごとに描いたような気がする。

   
  唐津城(唐津市東城内)17.06.12      F6   
  熊本で開かれた「いらかぐみ」のオフ会を機に福岡に泊まり、翌日は懐かしい唐津まで足を伸ばした。唐津へ行くJR筑肥線は福岡市営地下鉄と相互乗り入れなので便利も良い。20年ぶりぐらいだが、こうした地方都市はあまり変化がない。まず、入江のようにも思える松浦川の対岸から唐津城を描くことにした。唐津へはかつてたびたび来たが、お城を描くのは初めて。1966(昭和41)年に建てられた模擬天守だが、立地場所が良いのでなかなか魅力的である。今回の九州旅行では復興工事中の熊本城を描くことを第一目的としたが、唐津城でも大きなクレーンが動いていた。  
 
 
   
   唐津城・二の門堀(唐津市)17.06.12      F6  
 
松浦川の対岸から唐津城を描いた後、城下町へ入っていくと「二の門堀」という案内看板が立っていた。堀と行っても海に通じているので、干満の差が激しいらしい。堀端には桜が植えられていて、堀の向こうは昔は武家屋敷だったらしい閑静な住宅街である。背後には極めて豪勢なお宅が並んでおり、炭鉱王といわれた高取伊好氏の旧邸(重文)とか、九州出身の画家・青木繁の作品を展示する美術館などもあった。そんな堀端に座り、住宅の間から唐津城が眺められるポイントで1枚。前の道を時々通る人が、不審そうにスケッチ姿を眺めていった。

                                旧高取邸は公開施設だったが、”月曜休館”→→
 
 
 
   
   唐津城・辰巳櫓付近(唐津市)17.06.12      F6  
  唐津市の中心部を流れる町田川に面したこの景色が気に入った。正面の唐津城の遺構は三の丸にあった辰巳櫓で、その左向こう見える複雑な屋根の洋館は旧唐津銀行本店の建物である。唐津は城下町としてして発展、明治以降は石炭産業で栄えたという歴史を持つが、その歴史を象徴する2つの建物が同時に見渡せるポイントである。ただ、辰巳櫓は明治の廃藩置県後取り壊され、1992(平成4)年に復元されたもので、銀行の方は1912(明治45)年に建てられたままの姿。古さでは銀行の方に軍配が上がる。  
 
 
   
   旧・唐津銀行本店(唐津市本町)17.06.12      F6  
  唐津は建築家・辰野金吾の出身地である。唐津市の中心部にあるこの建物は、辰野と藩校で同級生だった小島小太郎が経営していた唐津銀行の本店として1912年(明治45年)に建てられた。辰野は設計を頼まれたが、ちょうど東京駅舎(1914年完成)の仕事をやっていて忙しかったので、弟子の田中実という人に設計させ、監修だけをしたそうだ。以上がネットで調べた情報だが、実は下に掲載しているように、1995年に九州に転勤したとき最初に描いたのがこの建物で、当時は佐賀銀行唐津支店として使われていた。今は公開施設になっている。  
 
 
   
   旧・東木屋酒造場(唐津市魚屋町)17.06.12      F6  
  唐津市にはとても思い出深い建物があった。魚屋町にある造り酒屋の建物で、このページの下の方にあるように、以前何回も描いている。再び行ってみると、昔のままの姿で残っていた。ただ酒造りは止められたらしく、門の扉は閉まっていた。もちろん屋号などは知らないからネットで調べてみると、清酒「松浦佐世姫」の蔵元「東木屋酒造場」というらしい。その情報が載っていたのは「いらかぐみ」メンバーのうち酒蔵データベースを掲載している「一路一会」のサイトであった。さすが、いらかぐみ。唐津駅から博多駅まで電車で1時間半ほどかかる。新幹線に乗り遅れないよう、時間を逆算しながら急いで描いた。  
 
 
旧三菱合資唐津支店(唐津市)98・08     F8
唐津市はいろんな顔を持っているが、石炭で潤った歴史は無視できない。西唐津港に近い海岸通にあるこの建物は歴史民俗資料館になっていて、唐津炭田や石炭積出港として栄えた唐津港の資料などが展示してある。

魚屋町の酒屋B(唐津市)98・07    F8
この建物は豪華な造りだが、失礼ながら少しくたびれている。中を覗くと古い看板などが無造作に掛かっている。下見板張りにちょっと隙間ができたりしているのもいい。

魚屋町から少し東に行った大石町には古い町屋が軒を連ねている。絵で一番手前の家は唐津市長のお宅と聞いたが、確かめてはいない。


大石町(唐津市)98・07    F8

   
  魚屋町の酒屋A(唐津市)97・03・22 F8   
  「唐津くんち」には各町内から自慢の曳山が出る。そのうち「鯛」の曳山を出す魚屋町には古い民家が残っていて、その狭い道を豪華な曳山がすり抜けていく。日を改めて、その魚屋町の造り酒屋を訪ねた。くんちの時に見た丸に「き」の字の暖簾を描きに行った。   

 
日曜日に出かけて失敗した。大戸が閉まっている。この経験はよくあることだが、ついこちらの都合を優先して、現地で気付くことが多い。


魚屋町の酒屋@(唐津市)97・03・09 F8
 
 
 
95年3月1日に九州に転勤して、まだ西も東も分からないうちに最初に描いたのがこの絵である。この建物も石炭のお陰でできた建物であろう。明治45年の建築という。


佐賀銀行唐津支店(唐津市)95・03・19 F8

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