大阪府

傍示(交野市)

傍(榜)示とは国境などに札を立てて示すことをいう。傍示(ほうじ)集落は河内と大和の国境にあり、大和側の奈良県生駒市にも同じ名前の村がある。交野市の寺地区から傍示まで「かいがけ(狭崖)の道」という険しい古道が通じていて、今はたまにハイキング客が通るぐらいだが、以前は河内と大和を結ぶ重要な街道の一つだったといわれる。

   
   傍示の棚田(大阪府交野市)16.06.18      36×51p  
  梅雨の晴れ間を利用して傍示の棚田を描きに行った。「今年はまだ早苗の田んぼを描いていないなあ」と思っていたとき、けんさん(千田健一氏)のフェースブックで傍示の棚田の眺めが素晴らしいことを知り、追っかけた。この日は全国的に猛暑となったが、現場は木陰で涼しい風が吹き抜けていかにも快適だった。傍示へはたびたび行っているが、このページにあるとおり、秋ばかりで、田んぼに水が入っているときは初めてだった。  
 
 
傍示C(交野市)2015.12.07     36×51cm
気持ちよく晴れていたので、交野市で一番高い所にある傍示へ行った。集落内に八葉蓮華寺というお寺があり、その本堂の前から集落の家々を描いた。傍示には4、5軒しか家がなく、この絵に大半のお宅が入っている。後ろの本堂には国の重要文化財に指定されている阿弥陀如来立像が安置されており、私のスケッチ姿を見てやって来られた村の人が「昨日なら仏様も拝めたのに・・・」と言われる。この阿弥陀如来は公開日が限られており、そんな日なら参拝客も多くのんびりスケッチするのは難しかったかもしれない。

傍示D(交野市)2015.12.07    F6
傍示には4、5軒のお宅があるが、そのうち@Bで描いている集落の入り口のお宅が家を建て替えられたため、描きたくなるポイントが少なくなった。仕方なくAで描いているメーンストリートの急坂を2枚目に選んだ。実はこのポイントが一番絵になると思っているのだが、2度目だと何となく躊躇する。だた以前描いた絵は人手に渡っているので、まあいいかと妥協した。人通りもなくいかにも寂しい風景だが、柿、山茶花、南天の赤が晩秋らしい彩りとなっている。

傍示への道から(交野市)2015.12.07    28×46cm
交野の市街地から傍示へ登る道の途中に、特に表示はないが展望台のような場所がある。周辺の林が途切れ、腰かけて休めるような岩がいくつかある。久しぶりなので、道端に車を止めてその場所へ行ってみた。視界一杯に大阪平野北部が広がっている。真ん中を第2京阪道路が横切り、その手前にJR学研都市線が走っている。さらに手前の山裾にある家並みは何度もスケッチしている寺集落。右上遠くに霞んでいるのは、多分京都の愛宕山であろう。最近俯瞰スケッチに凝っているので、思い切ってスケッチブックを広げてみた。しかし少し高低差があり過ぎて遠くの景色は何が何だか分からず、失敗。

傍示B(交野市) 08.10.13        36×51cm  
体育の日。あまりにもよい天気なので地元で山村の雰囲気が味わえる傍示へ行った。山の上の集落なので「行った」というより「登った」というのが正確である。ここへたどり着く道は曲がりくねった急坂で対向車が来ないことを祈るばかり。急に視界が開けたところに傍示があり、すぐそこはもう奈良県である。そばの道をハイキング客が次々に通るので、その姿を点景に取り入れておいた。

傍示A(交野市)05.10.18        36×51cm      
山ひだに数軒がひっそりと佇むこの村は、すでに秋本番だった。軒下に積み上げられた薪の山に厳しい冬を感じる。

傍示には「伊丹姓」のお宅が多い。戦国時代に伊丹郷から逃れてきた落ち武者の子孫の方々と伝えられている。




傍示@(交野市)94・11・03      F8

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