奈良県

萱生(かよう)環濠集落(天理市萱生町)

「山辺の道」沿いに竹之内と萱生という二つの環濠集落がある。竹之内の方が有名だが、だいぶ前に集落の入り口にあった濠を埋めて公園にしたそうで、スケッチする立場からいうと、あまり面白くない。「かよう」という難しい読み方をする萱生の方は、古墳の周壕をそのまま活用しているようだが、濠のすぐそばまで家が建ち、スケッチポイントが多い。この集落のすぐ近くに大和(おおやまと)神社という古社がある。「ヤマト」と呼ばれていた古代日本の中心地がこのあたりであったらしい。

萱生環濠集落@(天理市萱生町)2011.02.20     36×51cm
この日は萱生を目指したが、車を柳本町に止めてしまったので、山辺の道を北へ2kmほども歩く破目になった。天気もよいのでハイキング気分で街道を歩くうちに、突然、濠の縁へ出た。日当たりのよい山辺の道の道端に椅子を置いた。日曜日なので歴史の道をたどる人はけっこう多く、いろんな人が絵を覗き込んでいく。

萱生環濠集落A(天理市萱生町)2011.02.20     36×51cm
萱生町での2枚目は田んぼの中に入り込んで描いた。どうやらこの田んぼも耕作放棄地らしい。背後に濠はあるものの、目の前には何の変哲もない集落の風景が広がっている。村中へ通じる坂道をお年寄りがシルバーカーを押して上っていった。

萱生環濠集落B(天理市萱生町)2011.02.20     36×51cm
萱生町へやってきた時、最初にこのアングルから描こうかとずいぶん迷った。@を描いた場所より濠への写り込みが面白いので、3枚目に選んだ。山辺の道をたどる人の姿が絶えない。

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