奈良県

平尾、百済、箸尾(広陵町)

広陵町は靴下の生産で全国シェアの40%を占めるという「靴下の町」である。町内では大規模なニュータウンが開発されているが、長い歴史を持つ町でもある。町内のあちらこちらにある古い町並みを訪ねた。平尾は合併前の旧馬見町域の中心部。百済は旧百済村の中心で、重文の三重塔のある百済寺がある。箸尾は今はその町名はないが、昭和31年まで旧箸尾町だった。

箸尾の町並み(広陵町萱野)2014.08.05     F6
この日、午後から体が空いたので、スケッチに出かけることにした。しかし、行先が定まらず、何となしに奈良県の広陵町を目指した。広陵町役場に車を止め、その南側にある南郷地区の「環濠集落」へ行ってみたが、いいなあと思うところには日陰がなく、いかにも快適そうな神社の境内から見える景色はもう一つ気に入らない。仕方なく百済寺の三重塔がある百済地区へ行ったが、事情は同じ。3度目の正直ということで近鉄・箸尾駅に近い町内北部の箸尾地区へ行った。「箸尾御坊」と呼ばれる光教寺の寺内町として発展、お寺の前の細い道がかつて「下街道」と呼ばれた道だという。時間も遅くなって日陰ができていたし、古い町並みも残っていたので、ようやく1枚描いた。

百済寺三重塔(広陵町百済)2013.01.05     F6      
夫婦ともに信仰心は極めて薄いのだが、珍しく初詣にでも行こうかということになった。しかしお互いに「混んでいる所はイヤ」というわけで、広陵町の百済寺を選んだ。品の良い三重塔がポツンとあるだけで、その塔も春日若宮神社という神社の境内に建っている。「家内安全」以外に特にお願いごともないが、お宮とお寺へのお参りが一度でできるというメリットがある。「空いているだろう」との予想通り、午後遅いこともあって、境内にはわれわれ以外には人っ子一人いなかった。

平尾(広陵町平尾)10.03.14       36×51cm
「いいな」と思った場所だったが、出直して実際にスケッチしようと思うと、個々の家は立派なのだが構図がとりにくい。狭い道の端に椅子を置いたので、車で通り抜ける人にはずいぶん迷惑をかけたと思う。「大和の民家を描きに来られましたか」と絵を覗き込んだご婦人。そういうコメントが一番の励みになる。つい話が弾んだ。

百済@(広陵町百済)10.03.14       36×51cm
平尾へスケッチに出かけるついでにネットで広陵町のことを調べると、百済という集落に百済寺というお寺があり、見事な三重塔があるのを知った。三重塔は重要文化財指定だそうで、出かけてみるとまことに風格がある。とはいえ、塔そのものを描くのは難しいので、周囲を歩いてみた。寺の境内に木が茂っていて塔が見えにくい。ようやく町の家並みの正面に塔が見える場所を選んでスケッチした。

百済A(広陵町百済)10.03.14       F6
上の絵では三重塔が若干存在感が薄いので、少し後ろへ下がってもう1枚。賑やかしに子供たちの遊ぶ姿を描き込んでおいた。

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