長野県

妻籠(南木曽町)

木曾11宿の一つであった妻籠は町並み保存運動の先駆者といわれている。住民が「売らない、貸さない、壊さない」という三原則を作り、重要伝統的建造物群保存地区の制度ができるきっかけともなった。この作戦は大成功、現在の賑わいは徒歩しか移動手段がなかった往時を大幅に上回っていることだろう。こうした現象に抵抗感がないわけではないが、それはさておき、今回は正面から妻籠の町並みスケッチに挑むことにした。

妻籠1(南木曽町)04・05・28 アルシュ36×51cm    
絵はかつての高札場付近。描き込んだ人影は少ないが、外国人グループから高校生の団体まで町は観光客であふれている。スケッチしている私自身が何回か彼らの被写体になった。町並み全体が完全に修景されているから、どこを描いても「近代的なもの」は画面に入ってこない。「新しい材料でつくった『古い町並み』も、30年も経てば十分に古い」と「いらかぐみ」のメンバーが言った。けだし名言である。

妻籠2(南木曽町)04・05・28 F6
妻籠を代表する寺下地区の町並み。絵や写真で紹介されることも多い。現地では時間不足で描けなかったため、帰宅後写真から描いた。

町並み探索グループの「いらかぐみ」の会合が楢川村奈良井で開かれたのを機に、妻籠、寝覚、木曽福島と奈良井で描いた。
実は91年7月にも妻籠を訪れている。しかし人波に恐れをなし、早々に近くにある大妻籠へ移動して、そこでようやくスケッチブックを広げた。この村にはうだつを上げた姿の良い民家がひっそりと残っていた。今回はここまで足を延ばすゆとりがなかったため、当時の絵を掲載。

           大妻籠(南木曽町)91・07・21 F6

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