京都府

静市静原(京都市左京区)

京都市左京区の山中にある静市静原。京福電車の駅がある静市市原には大手企業の本社もあり、昔、仕事でも行ったことがあるが、そこから山の中へ分け入る静市静原へは足を踏み入れたことがなかった。初めて行ってみると路傍に「ほっとする里・静原」との看板が建っていた。

静市静原D(京都市左京区)       2015.03.17      F6 
大原でスケッチ後、目先を変える意味で静市静原へ。どこで描こうか迷っている時に出会った人の一言で、集落の高い所を横切っている「京都一周トレイル」というハイキングコースへ行った。3年前の最後に描いた絵(C)で、赤い自動車が止まっている場所に椅子を置いた。

静市静原@(京都市左京区)2012.04.02     36×51cm
静原はちょうど鞍馬と大原の中間あたりに位置するため、もっと鄙びたところかと想像していたが、思いのほか大きな集落である。自動車道から川の対岸に広がる家並みを眺めていて、明日香の稲淵を連想した。集落内は梅の花が盛りだった。

静市静原A(京都市左京区)2012.04.02     F6
最初に集落内を一回りして下見した時、土壁の土蔵と白壁の土蔵が向かい合うこの三叉路が面白いと思った。川の対岸から描いた1枚目(上の絵)でも、結局同じ場所をポイントに選んでいたことに、あとで気がついた。

静市静原B(京都市左京区)2012.04.02     36×51cm
静原へ出かけたきっかけは与堂さんが最近描かれた安野光雅風スケッチの原画に刺激されたこと。せっかくだから同じ場所で描きたいと思った。「未舗装の道端に腰をおろして…」というコメントを覚えていたので、多分ここだろうと思い、道の横の畦に椅子を置いた。ところがスケッチを始めた途端、どこに待機していたのか、舗装工事を行う車両などの一団がどっとやってきて、私の横で工事を始めたではないか。狐につままれたような感じだが、溶けたアスファルトの臭いこと臭いこと。急いで描いてほうほうの体で逃げ出した。ただし絵では舗装前ののんびりした道にしておいた。

静市静原C(京都市左京区)2012.04.02     36×51cm
京都市街地の周辺の山間部をめぐる「京都一周トレイル」というハイキングコースが設定されている。静原の集落内をそのコース通り抜けており、あちこちに案内標識が建っていた。標識に沿ってコースをたどると、やがて家々を俯瞰できる場所へ出た。どこかスケッチにいいポイントはないかとうろうろしていたら、不審者にみられたか「どなたの家をお探しですか」ととがめられた。そのお宅の庭に入れてもらえば見晴らしがよさそうなので、思い切ってお願いしてみた。「どうぞどうぞ」というわけで、抜群のスケッチポイントに出会うことができた。逆光で細部は見えにくかったが、楽しみながら1軒1軒を描いた。

京都市左京区鞍馬へ
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