京都府

新丸太町通、新柳馬場通(京都市左京区)

京阪電車・三条駅の北側一帯に「なぜ?」と感じる名前の通りがたくさんある。新丸太町通、新麩屋町通、新柳馬場通、新富小路通、新堺町通などなど。いずれも「新」を取り除いた同じ名前の通りが中京区にある。聞けば江戸時代前半に大火で家を失った人たちがこのあたりへ移り住み、元住んでいた場所の名前をつけたとか。

新丸太町通の町家(京都市左京区)2014.03.25      F6
京阪三条駅の北にある新丸太町通に、虫庫窓に大きな木の矢を飾った不思議な町家があるのを思い出した。↓にある通り、ずいぶん前に一度描いたことがあるが、前を通るたびにもう一度描いてみたいと思っていた。シャープな仕上がりとなった鉛筆スケッチが結構気に入ったが、いつものように着彩すると、いつものような絵になってしまうため、絵の具を少し節約してみた。

孫橋通新柳馬場東入ル(京都市左京区)2013.03.22        F6
この日京都へ行った目的の一つは、孫橋通の画廊で開かれていたグループ展を訪問することだった。展覧会を見た後、その近くでスケッチしようと思ったがよい場所を思いつかない。画廊から孫橋通を少し東に行くと以前スケッチした柳湯という銭湯がある。その銭湯をさらに東側から眺めると、高くそびえる煙突が印象的で、結構絵になる構図だと感じた。スケッチで非凡な才を発揮される「すろ〜さぶまりん」さんが、このアングルで描かれていたような気がして、その才にあやかることにした。

「柳湯」(京都市左京区新柳馬場通孫橋通角)  2012.09.02        F6
新柳馬場通と孫橋通の交差点で、「柳湯」という銭湯を見つけた。幸い向かい側には日影があるので、珍しい木造3階建の建物を描くことにした。入り口に「本日営業」という木札が掛かっているのに、暖簾がない。ご主人らしい人が出て来られたので「暖簾は出ないのですか」と聞くと、「営業開始の4時半に出します」という。時計を見るとまだ4時前。しかし、絵を覗きに来られたあと、「ちょっと待ってや」と言いながら、特別に暖簾を掛けてくれた。それを見て入りかけたお客に「すみません。4時半からです」と、あわてて片づけ。迷惑をかけたが、感謝感謝である。

新丸太町通(京都市左京区)07.05.20   F6
そんな通りの一つ・新丸太町通を歩いていて、虫籠窓に木製の大きな矢を取り付けた珍しい町家を見つけた。大きな矢がどういう意味を持つのかはよく分からない。近所の人が寄ってきて「昔は庄屋さんだった」とか「宮大工をやっておられた」などと説明してくれる。「絵が好きだ」という小学生もスケッチブックを持って出てきて、隣に座って描き始めた。いい雰囲気の町だった。新丸太町は「しんまるたまち」ではなく「しんまるたちょう」と読むようだ。

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