京都府

嵯峨鳥居本(京都市右京区)

嵯峨野の一番奥にある嵯峨鳥居本の町並みは重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。愛宕山上にある愛宕神社の一之鳥居がこの地にあり、参詣客を当てこんだ茶屋などが連なる町並みができた。「愛宕さん詣」を習慣とする京都の人は別として、今では参詣客より、わざわざ名物のアユ料理を食べに来る人や嵯峨野散策のついでにという観光客の来訪が多かろう。

嵯峨鳥居本の家並み(京都市右京区)    2015.08.08     F6
この日は京都も大阪も今年一番の暑さを記録したとか。暑い中、家でゴロゴロしていても体がなまるだけと思い、思い切ってスケッチに出かけることにした。さて『涼しく描けるのはどこか』と考えて選んだのが、京都の嵯峨鳥居本。取りあえず一之鳥居のところにあるアユ料理の「平野屋」近くへ行ってみると大勢のロケ隊が盛んに何かの撮影をしている。『映画、テレビ?』と聞けば『CMです』とのこと。仕方なく別の場所へ移動、嵐山高雄パークウェイの橋の下の日陰から1枚目を描いた。私にとっては初めてのアングルだが、すでに多くの方が描いている場所である。暑い時は毎年同じようなことを考えているようで、このページの通り、5年ごとに夏の盛りに鳥居本へ出かけている。

「平野屋」あたり(京都市右京区嵯峨鳥居本)    2015.08.08     36×51p
「平野屋」周辺でのCM撮影は『11時には終わる』とのことだったので、時刻を見計らって行ってみた。木陰は深くとても涼しいが、前の道はけっこう交通量が多いので、邪魔にならないよう側溝の中に椅子を入れて座った。平野屋の建物を山側から描くのは初めてだが、木々の表現が難しく絵の出来は不満足。

化野念仏寺参道付近(京都市右京区嵯峨鳥居本)    2015.08.08     F6
一之鳥居から愛宕街道を少し下ったところに「化野(あだしの)念仏寺」への入り口がある。その付近は深い木陰になっていて涼しく、街道が緩くカーブして町家風の家並みも面白いので、以前にもスケッチしたことがある(下の化野念仏寺あたりA)。今回は道路の右側にある店が閉まっていたので、その店先に椅子を置かせてもらい、石段になっている念仏寺参道を入れて描いた。たまに観光客が通り過ぎるだけで、とても静かな真夏の午後である。

愛宕街道(京都市右京区嵯峨鳥居本)    2015.08.08     F6
化野念仏寺あたりから愛宕街道を一之鳥居の方向へ少し戻ったところに形の良い民家があった。道の向かい側に建物の日陰があったので、1枚描くことにした。嵯峨鳥居本は重要伝統的建造物群保存地区に選定されているだけに、とくに商売をしているように見えないこのお宅も茅屋根を葺き直すなど隅々まで手入れが行き届いている。右手奥の森が化野念仏寺。

「つたや」付近(京都市右京区嵯峨鳥居本)    2015.08.08     F6
午後、愛宕神社・一之鳥居のところへ戻ってくると、太い鳥居の日陰に何とか身を隠すことができそうなので、アユ料理の「つたや」付近を眺めをもう1枚描くことにした。画面左の車から描き始めたころ、遠くで雷の音がした。右側の「つたや」の暖簾を描いている時、ポツリと雨が。こうした場合、急にどしゃ降りになることが多いので、すぐに道具をしまって、急いで車へ。ようやく車へ滑り込んだ時、前が見えないほどの豪雨になった。

おまけの1枚「鳥居本から京都市街を遠望」(京都市右京区嵯峨鳥居本)    2015.08.08     28×46cm
嵯峨鳥居本でのスケッチは、急な雨のため午後3時ごろ切り上げたが、その前に愛宕街道と立体交差する嵐山高雄パークウェイの橋に上ってみた。もちろん日陰がないからそこで描く気はなかったが、一之鳥居が見える上手方向ではなく下手方向を眺めると、山の間から京都市街地が遠望でき、京都タワーも見えた。初めて目にする新鮮な風景なのでカメラに収め、雨の日の楽しみに写真から描いてみた。この紙は新しく買ったワイドサイズのスケッチブックで、表紙にG8との表示がある。

嵯峨鳥居本B(京都市右京区)10.08.08       36×51cm
夏場のスケッチ場所探しには苦労する。どこか涼しくスケッチできるところはないかと考え、以前にも同じ理由で嵯峨野の鳥居本へ行ったことを思い出し、出かけてみた。愛宕神社の一之鳥居のところにあるアユ料理の「平野屋」の前にはモミジの深い影がある。まさに暑さ知らずでスケッチできた。

嵯峨鳥居本C(京都市右京区)10.08.08       F6
嵯峨鳥居本での2枚目は100メートルほど移動して、次の木の下へ。ベストアングルを選ぼうにもこの場所こしか日影がない。スケッチした愛宕街道に立体交差する「嵐山高雄パークウエイ」の上から見ると、茅葺き屋根4、5軒が一列に並び、絵になるアングルであることは分かっている。しかし、写真を撮るのは可能でも、スケッチとなると、日影はないし、自動車専用道路に椅子を置くことなどできない。

化野念仏寺あたりA(京都市右京区)10.08.08       F6
昼食をとるため嵐山方面へぶらぶらと歩き、祇王寺を過ぎたあたりでようやく手頃な食堂を見つけた。一息入れて再び引き返し、化野念仏寺の入り口付近が日影になっていたので、もう1枚描くことにした。

嵯峨鳥居本A(京都市右京区)05.07.20      36×51cm
以前、下の@の絵を描いた経験から、一之鳥居の前には深い木陰ができることを知っていたので、暑さ対策にここを選んだ。このあたりは嵯峨鳥居本仙翁町という。農家風の建物の料理屋が並んでいるが、料理の値段の高さも知っているので絵は描いても、店に入ったことはない。

化野念仏寺あたり@(京都市右京区)05.07.20        36×51cm
午後、西側にある化野念仏寺の森が深い陰を作っている。道路には打ち水までされていて絶好のスケッチ環境である。2枚目は迷わず嵯峨鳥居本化野町のこの場所を選んだ。嵯峨野の散策客を狙った土産物屋や料理店が軒を連ねているが、梅雨明け直後のかんかん照りとあって観光客もほとんど通らない。道の左側にある繭人形店「まゆ村」の店員さんが(ヒマなためか)何回もスケッチの進行具合を確かめに来られる。お礼に、その店を描き込んでおいた。

嵯峨鳥居本@(京都市右京区)93・07・17      F8
このときは東京からわざわざスケッチに来られた二人を案内した。一人は絵のうまい会社の先輩で、もう一人はその絵仲間。いかにも京都らしい風景をということで、祇王寺を経てここまでやってきた。しかし描いているうちに雨が降ってきた。葉の層が厚いモミジの木の下でスケッチを続けたが、やがてしずくが落ち始めた。未完成のまま、昔馴染みの川端二条「赤垣屋」に席を移して大いに盛り上がった。

京都市右京区嵯峨越畑、樒原へ
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