京都府

越畑、樒原(京都市右京区宕陰地区)

朝日新聞が選んだ「にほんの里100選」に京都市右京区の「越畑・樒原」が入っており、チャンスがあれば訪問したいと思っていた。この村は棚田で有名で、グーグルの航空写真で見ると素晴らしい棚田が広がっている。越畑、樒原の両集落を合わせて宕陰(とういん)地区と呼ぶらしい。京都市に属し、地名にも「嵯峨」が付くが、京都市内から直接アプローチする道は極めて険しく、亀岡や八木からの方が行きやすいと聞いていた。地図で確かめると国道477号をたどればよい。狭い道だったがそれほど勾配はきつくなかった。

越畑・河原家住宅(京都市右京区嵯峨越畑)2013.05.12        F6
越畑には京都市指定文化財の河原家住宅があるというので、とりあえず行ってみた。府道50号沿いにあり、道端に車を止めそのまま描ける好位置にあった

越畑・河原家住宅A(京都市右京区嵯峨越畑)2013.05.12        F6
河原家住宅の前の田んぼはすでに田植えが終わっている。せっかくだから田んぼを手前に入れてもう1枚描いた。ところで「嵯峨」と付く地名からは、嵯峨野を連想し、名勝・嵐山から徒歩でも行けるイメージである。しかし、それはとんでもない間違い。越畑、樒原へ通じる府道50号という道路は、嵯峨鳥居下の赤い鳥居のところから山へ入る。保津峡を抜け、ユズの里と呼ばれる水尾を通り、愛宕山の裾を延々と走ってようやく樒原へたどり着く。越畑でのスケッチ後、樒原まで入ったが、「この先、土砂崩れにより通行止め」との看板があり、京都方面へは行けなかった。

越畑の家並み(京都市右京区嵯峨越畑)2013.05.12        26×51cm
越畑はなだらかな斜面に棚田が広がり、その上の方に集落の家並みがある。家並みと棚田の組み合わせを描きたいと思い、集落内をウロウロと歩き回ってポイントを探したが、なかなか気に入る場所がない。仕方なく、なるべく茅葺屋根が多く見える場所で描くことに方針転換、宕陰(とういん)小学校、中学校の近くの道端に陣取った。横に広がる家並みを描いていて、紙の下の方が余ってしまったので、紙そのものを10センチほどカット。

樒原の棚田(京都市右京区嵯峨樒原)2013.05.12        36×51cm
越畑から府道50号を南へ行ったところにある樒原(しきみがはら)に興味があったので、移動した。越畑より京都市内へ近づいたことになるのだが、反対にさらに奥まったところに入った印象。樒原はずいぶん険しい地形に立地し、秘境の雰囲気である。集落の家並みの向こうに棚田の広がりが見えたので、迷わずそれを描いた。樒原の棚田は、遠くから見ると鎧を伏せたように見えることから「原の鎧田」と呼ばれるそうである。スケッチした場所のすぐ近くに愛宕神社の赤い鳥居があり、そこに愛宕山登山口との標識もあった。愛宕神社への裏参道の入り口に当たるわけで、このあたりが宕陰(とういん)地区と呼ばれる所以である。

越畑の家並みA(京都市右京区嵯峨越畑)2013.05.12        36×51cm
樒原からの帰り、越畑でもう1枚描いた。集落の入り口に火の見櫓があり、ウロウロしている時から気になっていた。結局、火の見櫓は紙からはみ出してしまったが…。集落内の細道の先はどこへ通じているのかよく知らないが、道の向こうから派手な身なりの”山ガール”とおぼしき2人がやってきたので、点景に描き込んだ。

京都市北区今宮神社あたりへ
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