京都府

美山町(南丹市)

京都府北部の由良川上流沿いにある美山町は茅葺き屋根の民家が数多く残っていることで知られる。なかでも同町の「北」地区は93年に重要伝統的建造物群保存地区に選定され、最近では「かやぶきの里」との呼び方が定着してきた。山際に茅葺き屋根が並ぶ風景は日本の原風景とも言える。美山町は06年1月、園部、八木、日吉の各町と合併して南丹市になった。

   
  美山の秋17−1(南丹市美山町北)2017.10.05    36×51p  
  浪漫会のスケッチ会でかやぶきの里・美山へ行った。京都駅から電車とバスを乗り継いで2時間、初めて公共交通機関での美山行きである。11人のメンバーが参加、ちょっとした旅行気分。お元気なHさんは行きの電車でもう缶ビールの栓を開けておられる。紅葉にはまだ少し早いが、天気は申し分なく、少し暑いものの日向で描けないほどではなく、理想的なコンディションだった。1枚目は由良川に架かる橋の上からのアングルを選んだ。  
 
 
   
  美山の秋17−2(南丹市美山町北)2017.10.05    F6  
  浪漫会のスケッチ会の続き。美山町辺りは稲刈りが早いようで、田んぼはすでに丸裸だったが、茅葺きの家並みの前の田んぼに稻木が立ち、稲が干してある。観光用のイベントかも知れないが、いかにも秋らしい風景と言える。しかも5〜6段に稲を干す背の高い稻木は、故郷の村でよく見たものと同じタイプなので、とても懐かしく感じた。というわけでこの稻木を準主役にして2枚目を描いた。すぐ近くで仲間の村木さんが描いておられる。  
 
   
  美山の秋17−3(南丹市美山町北)2017.10.05    36×51p  
  浪漫会のスケッチ会の続き。3枚目をどこで描こうか迷った結果、2015年5月に描いた下の絵と同じ場所へ行った。目の前の田んぼは一面、ソバの花盛りだったが、うまく表現できなかった。鉛筆スケッチが終わったところでケータイが鳴った。皆さんがすでに蕎麦屋「きたむら」でいっぱいやっているとのこと。ちょうどのども渇いていたので、合流して生ビールで一息入れた。  
 
     
  美山の秋17−4(南丹市美山町北)2017.10.05    F6   
  浪漫会のスケッチ会の続き。蕎麦屋の生ビールでのどを潤したが、帰りのバスの出発時刻までまだ1時間ほどあるので、集落の中へ入っていってもう1枚描いた。午後5時前の終バスに乗り、電車に乗り替えて京都駅着が午後7時。そのまま帰ればよいものを、駅構内にある飲み放題の居酒屋で約半数のメンバーが参加してさらに反省会をやった。  
 
 
北・若葉のころ@(南丹市美山町)       2015.05.11     36×51p
いかにも気持ちよさそうな晴天となり、しかも翌日は季節外れの台風襲来というので、思い立って京都の美山町へ出かけることにした。自宅近くから園部まで高速道路が直結したが、それでもやはり遠い。でも周囲の山々はまさに「山笑う」状態で、気分が浮き浮きする。何回も描いた北集落の家並みだが、いつも背景の山が画面に入りにくいので、今回は少し遠目から眺めて、むしろ山を主役にしてまず1枚描いた。

北・若葉のころA(南丹市美山町)       2015.05.11     F6
美山町へは過去に何回も来ているが、紅葉のころが多く、若葉のころは初めて。家並みの手前の田んぼに水が張られ、鯉のぼりも揚がっている。めったにないチャンスなので、家並みに近づき、田んぼの畔に椅子を置いて映り込みを描いた。

北・若葉のころB(南丹市美山町)       2015.05.11    25×41p 
美山町北の集落の中で描いたことがないので、かなり歩き回ってみたが、もう一つその気になるポイントが見つからない。「こんな時は原点に戻ろう」と独り言を言いながら、府道に戻り、北集落で一番最初に描き、その後もたびたび描いているアングルを選んだ。ちょうどバス停の待合所があり、その日陰で描けるのも涼しくて快適である。GW明けのウィークデーなのに、観光バスが次々に到着、集落の中は観光客で溢れている。こんな不便な場所なのに中国語を話す家族もいた。

北・若葉のころC(南丹市美山町)       2015.05.11    36×51p
美山町北の集落の入り口の道路脇に円筒型の郵便ポストがあり、写真やスケッチでよく取り上げられている。しかし何だかとってつけたような感じがするので、へそ曲がりの私はまだ描いたことがない。この日の最後に「一度描いてみるか」とその向かい側の小さな芝生広場に座った。ベンチもたくさん置かれ、いかにも「スケッチしてください」という雰囲気の場所である。この日は鯉のぼりが気になっていたので、画面の左端に鯉のぼりを置いて、順番に家並みを描いていったら、ちょうど郵便ポストの手前で紙がなくなってしまった。

→→は集落の入り口にある円筒型郵便ポスト。スケッチ中に赤い集配車がやってきたので、ポストは飾りではなく現役であることを確認した。

下平屋(南丹市美山町)       2015.05.11    25×41p
美山町では重要伝統的建造物群保存地区に選定されている北地区に最も多くの茅葺屋根が残っているが、他の地区でも茅葺屋根はたくさん見られる。北地区へ向かう途中に車窓から見えた下平屋地区も絵になりそうだったので、帰りに立ち寄った。一筋の道に面して、ずらりと茅葺屋根が並んでいる。一番右端のでかいのはお寺である。ただし、すべてにトタンカバーがかかっていた。

北H(南丹市美山町)      2012.11.01        36×51cm
Fさんに声をかけ、6年ぶりに美山町へ行った。11月に入ったので多少は紅葉も進んでいるかなとの期待があった。風が多少強いもののよく晴れ上がっているので、家並みがワイドに見渡せる広い田んぼの真ん中で描き始めた。しばらくすると、空は曇って風が強まり、寒さが身にこたえるようになった。「11月」を実感するスケッチとなった。

北I(南丹市美山町)      2012.11.01        36×51cm
風当たりの強い田んぼの真ん中で1枚描いたらすっかり冷えた。食堂で熱いそばを注文して体を中から温めた後、今度は風を避けられる窪地を選んだ。皆さんがよく描かれる赤いポストがある場所の近くなので、わざわざ絵を覗きにくる観光客もいた。体を90度折り曲げた近所のおばあちゃんがやってきたので、絵に描き込んだ。

北J(南丹市美山町)      2012.11.01        F6
由良川の対岸にある南地区にも茅葺屋根の家が並んでおり、以前から気になっていた。一度行ってみようと川を渡り訪ねてみたが、やはりあまり絵にはなりそうにない。再び北地区へ戻り、一番奥(西側)の八幡神社付近を描いた。

北G(南丹市美山町)06.11.21 36×51cm
10日ほど前に美山町へ行った時は紅葉がもうひとつだった。ピークの紅葉を描こうとひまつぶしさんに声をかけて、再び北集落へ。俯瞰の描ける場所をみやげ物屋の人に確かめたら「熊が出るのでお薦めできません」とのこと。仕方なしに集落裏手の杉林の中に入って描いた。多少視点が高くなり、新しいアングルの絵を描くことができた。

北F(南丹市美山町)06.11.09 36×51cm
朝早く家を出たので2枚目を描く時間がある。「美山まで来て、わざわざ電柱のある場所を選ばなくてもよかろう」とひとりでつぶやきながら、いちばん生活感がある小道を選んだ。秋の日はつるべ落としといわれる。すぐに陽が傾いてきた。

北E(南丹市美山町)06.11.09 36×51cm  
美山町の「北」はやっぱり秋の紅葉時が一番。ちょっと早いかなと思いながらでかけたが、けっこう木々が色づいている。好天とあって、平日にもかかわらず、観光客がいっぱい。

北C(美山町)04・06・09 36×51cm
梅雨の晴れ間に「北」へ行った。家並みが緑の木々に埋もれている。最近は駐車場や売店も整備され絵を描くには極めて都合が良い。ウィークデーなのに観光バスもやってきていた。背景の杉の表現にてこずった。

北D(美山町)04・06・09 36×51cm  
美山町には「北」のほか「南」「中」「下」など1字の字(あざ)が多いが、「北」の向かいにある「南」も家並みが素晴らしい。2枚目は「南」を描こうかと少し迷ったが、結局、「南」へ渡る由良川の橋の上に陣取って「北」を描いた。

北B(美山町) 00・11・19 F8
秋晴れと紅葉に誘われて美山町へ。「北」の周辺は絵を描く人、写真を撮る人であふれていた。期待通りの全山紅葉だったが、寒さは予想を超えていた。同行したFさんは車からほとんど出てこなかった。

最初に美山町北の風景を知ったのは週刊新潮のグラビア写真だった。早速訪問したが、もちろん今のように観光客が押しかけたりするようなことはなく、いかにものんびりとした田舎風景だった。そのころの絵。



北@(美山町) 90年秋 F4

同じ時に描いた絵。当時はトタンをかぶせた家がたくさんあったが、今は元の茅葺き屋根に復元されたものも多い。



北A(美山町) 90年秋 F4

静原(美山町) 00・11・19 F8
美山町の役場がある静原で1軒の家が目に止まった。桧皮葺きだと思って描いたが、お聞きすると杉皮葺きだそうで、築130年とか。料理旅館を営んでおられ、おかみが1000種類もの「花酒」をつくっておられた。特製の「松葉サイダー」なるものをご馳走になったが、残念ながら寒さで味わうゆとりがなかった。立ち退きの話があり、署名を集めておられたが、後日「無事解決した」とのお便りをいただいた。

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