京都府

和知(京丹波町)

最近は車での移動が主になったが、以前(といっても半世紀近く前)、京都始発の山陰線をよく利用していた。和知駅〜安栖里(あせり)駅〜立木駅と進むと、車窓に由良川の河岸段丘が広がるのをとても印象深く覚えている。斜面に階段状に並ぶ家並みをいつかは描きたいと思っていた。ところで「和知」という地名は歴史がありそうだが、05年10月に旧和知町が近隣2町と合併して京丹波町になったことで、駅や学校などに和知の名前は残っているものの、地名としての和知は消えてしまった。

     
  和知の河岸段丘C(京丹波町)2018.02.14    36×51p   
  厳しかった寒波が一段落し、最高気温が10度を超えるとの天気予報に「そうだ雪景色を描こう」と家を出た。滋賀県へ行けば積雪は間違いないが、丹波でも雪があるのではないかと思い、自宅から行きやすい京丹波町の和知方面を選んだ。結果的にこの選択は失敗。日陰に少し雪が残るだけで、のどかな冬枯れ風景が広がっていた。  
 
 
   
  和知の河岸段丘D(京丹波町)2018.02.14    F6   
  河岸段丘に並ぶ民家を少しアップで描きたくて、こちら側の段丘の先端まで行った。近くで農作業していた老夫婦の方と話が弾んだ。「1週間前なら雪景色が描けたのに」と言われるから、「今日も雪景色と思って来たんですよ」と応えた。ただ1週間前は寒くてとてもスケッチに出かけるような天候ではなかった。  
 
 
   
  和知ダム(京丹波町)2018.02.14    F6  
  河岸段丘のスケッチを早めに切り上げて帰途についた。由良川沿いの国道27号線を走っていて、ふとダムが目に止まった。道路脇にダムを見下ろす枯れ草の斜面があり、日当たりがよく気持ちよさそうなので、ついスケッチする気になった。帰宅後に調べたら関西電力が1968(昭和43)年に建設した発電用の和知ダムであった。  
 
 
和知の河岸段丘@(京丹波町坂原、中)2013.04.22        36×51cm
京都縦貫道の延長工事が13年4月21日に完成し、大阪方と直結したとのニュースを聞いて、突然この河岸段丘の風景を思い出した。和知にある道の駅に車を止め、周辺でスケッチした。家々が階段状に並ぶ向こう側の斜面と手前の田んぼの間に由良川が深く切れ込んで流れている。手前の段丘の縁を山陰線が通っているが、もちろん昔の「汽車」ではなく「電車」がやってきた。絵の右側が「坂原」、左の方は「中」という集落である。

和知の河岸段丘A(京丹波町坂原)2013.04.22        36×51cm
この日はよく晴れていたが気温が低いうえに風が強く、とても寒かった。風を避けるため、2枚目は山陰線の線路際に建つビニールハウスの陰へ移動して描いた。この場所からは由良川対岸に広がる河岸段丘集落がちょうど列車の車窓からと同じ近さに見える。山の緑は亀岡市あたりまではすっかり春色だったが、このあたりでは芽吹きが遅く、まだ冬色が残っていた。

由良川の流れと河岸段丘(京丹波町坂原、中)2013.04.22        F6
車を止めた道の駅の裏には由良川が流れている。河原に降りてみると、岩の間を緩急をつけて流れるとても魅力的な姿である。近所にあった立て看板で、このあたりでカヌー競技が盛んだと知った。アユの釣り場でもあるらしい。家々が階段状に並ぶ河岸段丘の様子もよく分かるので、川の流れを入れて1枚描いた。しかし、こうした美しい景色をそれらしく表現するのがいかに難しいかを描きながら実感した。

和知の河岸段丘B(京丹波町坂原)2013.04.22        F6
高い所にある坂原の集落まで上って描いたが、特に河岸段丘の集落のようにも見えないし、何となく気に入らずボツに。再び由良川の川岸に降りて、もう1枚描いた。川沿いに国道の旧道が通っており、そこから坂道で高い所にある集落へ上るようになっている。旧国道沿いの家にはアユ釣りの遊漁券やオトリの看板が出ていた。

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