京都府  
 
 
  花脊(京都市左京区)  
 
 
  鞍馬から険しい峠を越えたところにある「花脊」に、昔、スキー場があり、学生時代からよく通った。積雪時にはバスが花脊峠の「峠下」までしか行かず、後はスキーを担いで旧峠を歩いて越えるのだが、当時は体力もあった。マイカーを手に入れてからは子ども連れでナイタースキーもやった。夕食時にはリフトも止まり、係の人も一緒に食事をするというのどかさであった。雪の峠道の運転は大変だったが、何しろ京都市内だから近い。ちなみにネットで調べたら花脊スキー場は1929年にオープンし1989年に廃業したとあった。ずいぶん歴史のあるスキー場だった。スキーで行った以外に花脊へは行ったことがなく、記憶も曖昧になっているので、一度スケッチ目的で訪ねたいと思っていた。  
 
 
   
   花脊別所町②(京都市左京区)17.04.24     36×51㎝  
  新緑の季節なのでこの際と思い「花脊」へ行ってみた。花脊峠の峠道は記憶に比べてとても険しくて長かった。ようやく峠を越えたところで花脊別所町の家並みが見えた。スキー場は少し先の左側にあった。期待に反してまだ若葉の季節ではなく、桜がまだあちこちに残っている。元茅葺き屋根の民家が点在し、桃源郷といった風景をのんびりスケッチした。  
 
 
     
  花脊別所町①(京都市左京区)17.04.24     F6  
  実はこの絵が花脊で描いた1枚目。「別所上の町」というバス停の近くで、スケッチの準備をしていると、目の前に京都方面からやって来た路線バスが止まり、運転手がわざわざ窓を開けて「バスに乗るのではないですか」と声を掛けてくれた。「ずいぶん親切なこと」と思い、バス停の時刻表を見ると11:13の次は16:03までない。花脊を通る出町柳発広河原行の路線バスは日に3本しかなく、今のバスは鞍馬バス停で私自身が追い抜いたものだった。声を掛けてくれるのもなるほどと納得した。周辺に家数は結構あるが、近くで農作業をしていた一人を除き、人の気配がまったくしない。  
 
 
   
  花脊別所町③(京都市左京区)17.04.24     28×46㎝  
  「別所上の町」というバス停の近くでもう1枚。10軒ほどある茅葺き屋根の民家は皆トタンカバーが掛かっているが、1軒だけ茅葺きのままの家があったので、それに焦点を当てた。後で近づいてみると、とても綺麗に整備されたお宅だったが、人が住んでいる気配はしなかった。座っている場所は一応国道なので、交通量は結構あるが、そのほかは集落全体の時間が止まっているような雰囲気だった。  
 
 
   
  花脊大布施町(京都市左京区)17.04.24     F6   
 
花脊別所町に昔あったスキー場の入り口を過ぎ、さらへ山奥へ向かった。とはいえ道は別所川に沿った下り坂で、道幅も次第に広くなるから、里へ下っている感じである。峰定寺の方へ向かう府道との分岐点が花脊大布施町で、小中学校などもあり、絵になるかと期待したが、残念ながら気に入るポイントはなし。交差点を左折し、今度は桂川(大堰川)の流れに沿って下り、もうすぐ京北町という村で車を止めた。昔の字名が分からないが、街道沿いの集落風景が絵になりそうなので、かなりうろついた。しかし的が絞りきれず、結局1軒の茅葺き民家を描くことにした。不審者と思われたか、近所の人が偵察に来られた。疑いはすぐに晴れ、しばらく話し込んでいかれた。






 
 
 
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