京都府

嵐山(京都市右京区)

嵐山は天下の名勝である。民家と町並みという範疇からは少しはみ出すが、いつも観光客でごった返しているという点を除けば、スケッチ環境としてはとても恵まれている。

嵐山・桜間近(京都市右京区)2014.03.23      36×51p
京都・三条で開かれている2つのグループ展の最終日に合わせて京都へ。ついでにスケッチをすることにしたが、いかにも春らしい天気だったので思い切って嵐山へ行った。取りあえずは一度描いてみたいと思っていた渡月橋の遠望を。渡月橋の上は観光客で大混雑しているものの、河原へ降りると誰もいない。桜のつぼみはまだ固く、1年で一番地味な季節の嵐山だが、河原で受ける川風も寒くはなく、気分はまさに春であった。

亀山公園から(京都市右京区)2014.03.23      F6 
渡月橋の遠望を描いた後、亀山公園へ行った。展望台へ上ると目の下に保津川の流れがあり、亀岡からの保津川下りの船や嵐山から上る屋形船が行き来し、川沿い線路を観光トロッコ列車もやってきた。川岸にある建物は船でしかアプローチできない「嵐峡館」という料理旅館だと思っていたが、ネットで調べてみると、いつの間にか全国でリゾート事業を展開する星野リゾートの経営になっており、「星のや京都」という名前になっていた。左手の山の上に見えるのは「千光寺」。

嵐山・中之島(京都市右京区)2014.03.23      25×41p    
この日の主目的は展覧会の訪問なので、京都市内へ引き返すため阪急電車の嵐山駅へ向かった。中之島公園から駅に向かう中之島橋を渡りながらふと見ると、中之島の南側にある川面への映り込みが興味深い。そういえばこの場所のスケッチを見たことがある。これも早春らしい嵐山風景だと思い、橋のそばにある温泉施設の敷地にひと足だけ入れてもらって、もう1枚描いた。

嵐山の秋(京都市右京区)2013.12.02          36×51cm 
双ヶ岡から仁和寺の俯瞰を描いた後、紅葉ならやはり嵐山だろうと、嵐山へ移動した。ものすごい人出で、渡月橋の歩道は一寸刻みでしか歩けない。人影のない保津川の河原に下りて嵐山の紅葉を描くことも考えたが、午後の日差しでは山の色が冴えない。渡月橋を南に渡ったところにある「法輪寺」というお寺の舞台から渡月橋付近が俯瞰できることを、与堂さんとひまつぶしさんのスケッチで知っていたので、そのお寺の舞台へ上った。舞台の上はたまに参拝客が来るぐらいで、ゆったりスケッチ。正面に見える嵯峨野の山々はいつまでも西日を受けている。

嵐山の夏(京都市右京区)10.08.08       36×51cm
嵯峨鳥居本へスケッチに行き、まだ時間があるので嵐山でもう1枚描く気になった。渡月橋の上から見ると、川向うの保津川右岸は完全に日陰になっている。右岸の川沿いの遊歩道は車も乗り入れ禁止で、のんびりとしたスケッチ環境である。渡月橋と屋形船を組み合わせ、いかにも嵐山という構図で描き始めたが、手前の屋形船が風で刻々と位置を変えるのには閉口した。

嵐山の春(京都市右京区)06.04.22      36×51cm
嵐山を会場に悠彩会のスケッチ会が開かれた。春の芽吹きの山はとてもカラフルで、秋の紅葉とはまた違った味わいがある。なかでも「嵐山」の春は他の山に比べてもいかにも鮮やかである。きれいなものをきれいに描くのはいかに難しいかを実感しながら、絵筆を運んだ。

京都市右京区嵯峨・大覚寺あたり
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