熊本県

松合(不知火町)

2000年4月1日付で、5年間生活した九州から大阪への転勤が決まった。3月12日、なんとなしに描き残したような思いがしていた不知火町の松合へ出かけた。この町は99年秋の台風18号で大きな高潮被害を受けており、海沿いの一帯はまだその爪跡が生々しかった。「汐見坂」という舟溜を見下ろせる路地で、一枚を仕上げた。
松合(不知火町)00・3・12 F8
この町を訪ねたのは実は2回目。前回は通りがかりで時間もなかったため、町中をざっと散策しただけだった。その時気になった古い町並みもあり、高潮被害というニュースにも触れたため、九州を去る記念にこの町を描くことにした。
「汐見坂」は町の中心部にあった。3月というのに舟溜から冷たい風が路地を抜けてきて、体全体が冷えてしまった。
松合は江戸から明治にかけて港と醸造で栄えた。町を貫く国道266号線の旧道に沿ってなまこ壁をめぐらせた古い家並みが残っており、郷土資料館やビジターセンターといった施設もできていた。しかし、保存は不十分と言わざるを得ない。高潮被害を受けた海岸沿いの低い土地はその後、十分に復旧したか気がかりだ。

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