石川県

主計町茶屋街(金沢市主計町)

主計町茶屋街は金沢3茶屋街の1つで、2008年6月に重要伝統的建造物群保存地区に選定された。浅野川左岸の浅野川大橋の下流に位置している。主計町の町名は富田主計(とだかずえ)という藩士の屋敷があったことに由来するそうだが、住居表示法の関係で1970年に尾張町2丁目の一部となり、町名が消えていた。しかし「伝統ある町名を復活してほしい」との町名復活運動の結果、1999年に旧町名がよみがえった。全国で初めてのことだという。

主計町事務所あたり(金沢市主計町)       2015.06.13    F6
前回の金沢訪問時には主計町でスケッチできなかったので、今回はぜひ描きたいと思っていた。川沿いに茶屋や旅館が軒を連ねているが、家並みに変化がなくスケッチ対象としては魅力に乏しい。一筋裏の狭い路地へ入ったところに、今は主計町事務所の看板が上っている旧検番の建物があった。その横に「暗がり坂」と呼ばれる坂があり、ここは変化があって面白いが、あいにく坂の下の建物が改修中で全体にカバーが掛かっている。仕方なく主計町事務所の建物(絵の左側)前の路地そのものを描いた。

「あかり坂(金沢市主計町)       2015.06.14    F6
「いらかぐみ」オフ会では、早朝の町歩きが恒例になっている。まだ人出がないうちに皆さんと尾張町、主計町、ひがし茶屋街などを歩いた。私はスケッチの下見が主目的だったが、その時主計町で教えてもらったのが、この「あかり坂」である。一人ではその存在を知らないままに終わっていたと思われるので、経験豊富な仲間に感謝。隣にある「暗がり坂」は坂下の建物が工事中で絵にならなかったが、「あかり坂」の方はいかにも複雑な構図で、スケッチ心をくすぐる。「あかり坂」は2008年に作家の五木寛之が命名したそうで、それまではとくに名前はなかったとか。宿泊した宿の前で皆さんと別れてから、さっそく坂の階段に座った。スケッチしていると左手のお宅の窓が開き、ご婦人が植木鉢に水をやり始めた。至近距離で目が合い、何だか照れくさかった。

浅野川と主計町茶屋街(金沢市主計町)       2015.06.14    36×51p
主計町茶屋街の家並み全体が描きたくて浅野川の対岸へ行ってみた。川沿いの右岸の小道にも左岸同様、桜の木があり、木陰が涼しそう。しかも浅野川大橋の上は押すな押すなの観光客だが、10メートルほど小道へ入っただけで誰もやって来ない。絵の左手のアーチ橋が浅野川大橋で、その向こうに何となく賑わいを感じさせるのが、橋場交差点付近である。ゆったりとスケッチしているうちに、金沢にいるのを忘れ、何だかいつもの京都・鴨川畔で描いているような気分になった。

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