鹿児島

坊津(坊津町)

坊津(ぼうのつ)には長い間あこがれていた。油津(日南市)、美々津(日向市)、崎津(天草)とともに、離島以外では福岡から行きにくい四つの「津」(港)と私が勝手に呼んでいたが、中でも坊津が遠い。97年7月に訪問がようやく実現した。薩摩半島最南端の枕崎市からさらに峠を一つ越えた。

坊津1(坊津町)97・07・20 ワトソンF8
坊津は遣唐使船の発着場所だったそうで、福岡からは遠いが中国には一番近い港ともいえる。鑑真和上もこの地に上陸した。立派な鑑真和上記念館があり、また、密貿易屋敷跡というのもあった。いずれにしろ外国との交流の窓口になっていた町だった。字名は単に「坊」というが、百済の僧・日羅が創建した一乗院という巨大な寺があったことにちなむ。明治の廃仏毀釈で寺は取り壊され、礎石だけが苔むしていた。絵はそんなことには関係なく、坊の交差点風景。その後、焼酎「薩摩白波」のコマーシャルのバックに映っていた。
絵では感じられないが、写真で見ると南国らしい太陽光線がさんさんと降り注いでいる。宿泊した宿は「水平線に沈む夕日」が売り物だったが、とんだ迷惑。早く沈んでくれないと暑い、暑い。

坊津2(坊津町)97・07・20 ワトソンF8
板を多用したこの辺りの民家が珍しい。

おまけ
坊津の歴史以外の売りは、風光明媚なその自然。映画「007は二度死ぬ」のロケ地にもなった。鑑真和上とジェームス・ボンド。この無関係な二人に共通するキーワードをあえて探すと「国際関係」。

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