石川県

東山(金沢市東山1丁目、2丁目)

江戸時代は百万石の城下町であり戦災も受けていないため、金沢は古い町並みの宝庫と思われがちである。しかし豪勢な商家の建物は市内中心部にたくさん残っているものの町並みとしての連続性はあまりない。そんな中で浅野川右岸の東山地区には「東山ひがし(ひがし茶屋街)」と「卯辰山麓」という2つの重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)があり、金沢を代表する伝統的町並みとして注目され、多くの観光客を集めている。

ひがし茶屋街を俯瞰(金沢市東山1丁目       2015.06.13     36×51p
「いらかぐみ」の2015年度オフ会が6月13日、北陸新幹線開通ブームに沸く金沢市で開かれた。金沢でのスケッチは2度目なので、駅から「ひがし茶屋街」を俯瞰できるポイントへ直行した。実は悠彩会のIさんが茶屋街の見事な俯瞰を描かれており、できれば同じ構図で描きたいと思っていた。しかし、高台にある宝泉寺へ上ってみたが、木が茂っていてダメ。このためお寺へ上る途中にある料亭・山乃尾の駐車場へ入らせてもらった。茶屋街の中心の通りが見えず、アングルとしては多少不満だが、日陰があり、絶好のスケッチ環境である。遠くのビル群から描き始め、手前の甍の波を描き終わったところで、ちょうど昼になり、日陰がなくなった。

卯辰山麓寺院群(金沢市東山1丁目       2015.06.13     F6    ●
ひがし茶屋街の周辺地区が2011年11月に「卯辰山麓重伝建」に選定された。起伏のある山麓地域に50を超えるお寺が集まっているそうなので、地図を見ながら茶屋街の北にある寺町へ行ってみた。日陰を優先し、来教寺の少し湾曲した塀の向こうに、西養寺へ上る長い石段が見える場所を選んだ。椅子を置いた場所に老夫婦が営む和菓子店があり、大福餅がおいしそうだったので、それを食べながらスケッチした。「重伝建になってお客は増えましたか」と聞いてみたが「ここまでは来ません」との返事。茶屋街は観光客で溢れ返っていたが、やはりお決まりのコースを歩くだけらしい。

卯辰山麓の路地(金沢市東山2丁目)       2015.06.13
F6 



「卯辰山麓重要伝統的建造物群保存地区」は従来の「東山ひがし重伝建地区」の周辺22.1ヘクタールをそのエリアとしている。お寺が密集する寺院群だけでなく、寺町の成立と同じころにできた材木問屋の集まる旧木町や観音院の門前町・旧観音町など、町家が建ち並ぶエリアまでを含む複合的な町並みが対象となっている。旧観音町は以前描いているので、他の場所を描こうと歩いていて、いかにも生活感のある細い路地を見つけた。多くの家々に「袖うだつ」が取り付けられている。これは福井、石川、富山の北陸地方に共通する町家の特色である。

旧観音町(金沢市東山1丁目)07.03.29 36×51cm 
格安パックツアーを利用して金沢へ行った。取りあえず「ひがし茶屋街」と「主計町茶屋街」を訪ねたが、あまりにもきれいに整備された町並みに尻込みして、ひがし茶屋街の南側の通り・旧観音町でのスケッチを優先した。旧観音町の通りには北陸らしい大型の袖うだつを備えた古い町家が軒を連ね、公開施設もあるが、現役の店も多く生活感がある。町名変更で茶屋街と同じ東山1丁目になったが以前は「観音町」という町だったそうで、この通りの人もこの旧町名に愛着を感じておられるようだった。旧観音町も2011年に「卯辰山麓」の一部として重伝建に選定された。



左手前の米屋さんの白い暖簾に書かれた文字(下の写真)が印象的で、少しでもよいから絵に入れたかった。しかし道幅は狭いのに車がよく通る。「道にはみ出して座ると危ないですよ」と言われ、諦めた。

ひがし茶屋街(金沢市東山1丁目)07.03.29 36×51cm
「ひがし茶屋街は江戸時代の終わりごろ整備されたといい、金沢を代表する古い町並みとして観光客の姿が絶えない。正面に見える山の上から俯瞰が描けないかと思い登ってみた。宝泉寺境内の「五本松」という場所から見事な甍の波が見えたが、もう一つ好みに合わなかった。

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