兵庫県

有馬温泉(神戸市北区有馬町)

関西の奥座敷とも呼ばれる有馬温泉は、「日本書紀」に記録が残る日本で一番古い温泉で、1400年近くの歴史がある。「○○坊」という独特の呼び方をする旅館が多いのは鎌倉時代にできた宿坊の伝統を引き継いでいるものだろう。悠彩会のスケッチ会で訪問したが、大きなホテルや旅館が建ち並ぶばかりで、絵にはならないだろうと思っていた。しかし、古い旅館やみやげ物屋が並ぶ通りなどスケッチポイントは案外多かった。

有馬温泉・湯本坂@(神戸市北区有馬町)10.07.24       F6
悠彩会スケッチ会が有馬温泉で5年ぶりに開かれた。ギラギラと太陽が照りつけ、いかにも暑い。集合場所のバスターミナルから温泉街へ通じる湯本坂は、狭い道の両側に背の高い建物が並んでいるため、少なくとも道の片側は日影が確保できる。皆が日影を取り合うような形で、それぞれに陣取った。私は挨拶代わりにタバコを買い、その店先に座らせてもらった。スケッチ後、店の女主人にお礼を言ったら「タバコは吸いすぎないようにね」だと。

有馬温泉・天神泉源(神戸市北区有馬町)10.07.24       F6
1枚目スケッチで店先をお借りしたタバコ屋の奥さんが「山の上に源泉があり絵になりますよ」と言われる。どうせ日影はなかろうと思いながら行ってみると、鳥居前の木の下に小さな日陰があって、先客がおられる。絵を見ると極めて丁寧なスケッチで、ここでスケッチし始めてもう6日目だといわれる。ちょっと迷ったが、小さな日影に割り込ませてもらい、ほぼ同じアングルで描くことにした。氏の迫力に圧倒され、雑なスケッチを短時間で仕上げて早々に失礼した。(この方は吉岡充氏で、これを機にお互いの展覧会を訪問するなどの付き合いが始まった)

有馬温泉・湯本坂A(神戸市北区有馬町)10.07.24       F6
昼食後、あまりの暑さにスケッチを切り上げたり、入浴に切り替えるメンバーもいたが、せっかく遠方まで来たのだからと、もうひと踏ん張りすることにした。午後になると日影の位置が反対側に移っている。午前中と同じ場所に座っている仲間は、まともに日差しを浴びる結果になっていた。湯本坂の西側にできた日影に座って、いかにも古い有馬らしい町並みを選んだ。

有馬温泉・温泉寺あたり(神戸市北区有馬町)10.07.24       F6
5年前のスケッチ会の時にも描いた温泉寺へ上る階段あたり(一番下の絵)をもう一度描きたいと思ったが、覗いてみると日影がない。湯本坂でスケッチして時間を稼ぎ、日影ができるのを待った。

有馬温泉@(神戸市北区有馬町)05・05・14       36×51cm
宝塚からバスで有馬へ。バスターミナル横でさっそくスケッチを始めた。ところが絵を描いている目の前でバスが方向転換する、マイカーでやってきた人が車を止めて道を聞くなどで、環境は最悪。みやげもの屋の店頭を描きたかったが、客待ちタクシーがいつまでも動かない。「まあいいか」と描き込んだが、やはりこれは失敗だった。

有馬温泉A(神戸市北区有馬町)05・05・14       36×51cm
昼食への移動時にこの風景を見つけた。温泉寺への階段と古い民家の組み合わせに興味を持った。屋根のリズムも面白い。色がほしくて工事現場の赤いコーンまで描いたが、無駄。むしろ階段を上る人でも描くべきだった。というわけで2枚とも出来は不満足。

明石市へ
「近畿の旅1」(兵庫、京都)の目次へ