岐阜県

美濃(美濃市)

東海北陸自動車道の美濃インターを降りたところに「うだつ(卯建)の上がる町・美濃」という大きな看板が立っており、和紙で栄えたこの町は今はその遺産でもある「卯建」で町おこしをしようとしている。確かにこの町の卯建はその数と豪華さでおそらく日本一であろう。2000年8月に一度訪問したが、2019年5月には、いらかぐみオフ会が美濃で開かれた。

   
  小倉山城趾展望台より(美濃市)2019.05.25    F6  
 
17回目を迎えた「いらかぐみオフ会」が、5月25日から26日にかけて美濃市で開かれた。美濃は2度目だが、今回は町の中心部にある卯建を上げた旅館に泊まるという企画である。寄り道をせず美濃へ直行したため、時間がたっぷりある。とりあえず美濃にある小倉山城趾へ行き、城山の頂上に立つ展望台へ上った。展望台最上階からは美濃の町並みが俯瞰できたので、訪問記念にまず1枚。絵の右端をこちら向きに通るのが国道156号線で、国道沿いに美濃市役所が見える。


                                             町中から眺めた城山頂上のお城型展望台→→
 
 
 
   
  うだつの町並み(美濃市泉町)2019.05.25    36×51p  
 
美濃市中心部で卯建を上げた家が並んでいる地域は、道路が目の字の状態になっているため「目の字通り」と呼ばれ、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。宿泊する宿もこの地域内にあるので旅館の駐車場に車を止めさせてもらい、とりあえず一番たくさん卯建が並んでいる場所(泉町)を描いた。前回の訪問時にもまったく同じ場所で描いて(下の絵)いるが、電柱も取り去られ映画のセット状態になっていた。論議のあるところだが、個人的には寂しい。

いらかぐみのメンバー・七ちょめさんもほぼ同時刻に宿へ到着、さっそく町並みの撮影を始められた。いつの間にか私のスケッチ姿も撮っておられた。→→


 
 
 
   
  長良川と美濃橋(美濃市2019.05.25    F6   
  卯建の町並みスケッチだけでは飽きそうなので、気分を変えて近くを流れる由良川へ行った。美濃は昔は上有知(こうずち)と呼ばれ、美濃和紙の集散地として発展した。和紙などの物流拠点となったのが長良川岸の上有知湊で、船着場跡の石畳や川湊灯台が残っており、その少し上流に「美濃橋」が架かっている。1916(大正5)年に完成、現存する日本最古の近代吊り橋だそうで、国の重用文化財に指定されている。少し暑かったが河原からスケッチした。現在工事中で、橋の下に足場が組まれ何やら作業中。残念ながら渡ることは出来なかった。河原ではキャンプやアユ釣りを楽しむ人の姿が目立った。  
 
 
   
  殿町の家並み(岐阜県美濃市2019.05.25    F6  
  美濃橋をスケッチして美濃市中心部へ戻ってくるとき、城趾近くの殿町の家並みを面白いと感じた。朝、車を止めた城趾の駐車場に再び車を止めてスケッチした。中心部のように本卯建はみられないが、袖卯建とも呼ばれる袖壁を備えた家がズラッと並んでいる。正面の茶色の建物が美濃市文化会館。  
 
 
   
  小坂家の卯建(美濃市常磐町2019.05.25    F6  
  美濃市の卯建のうち、一番存在感のあるのが常磐町にある小坂酒造場(小坂家)の卯建であろう。この住宅は国の重用文化財に指定されており、前回訪問時にも描いている(下の絵)。日が傾いてきて道の手前側が日陰になっており、快適にスケッチできた。小坂酒造は清酒「百春」の蔵元で、幹事さんが買ってきて、夜皆で味わった。  
 
 
   
  ダブルの卯建(美濃市常磐町)2019.05.25    F4   
 
常磐町の小坂酒造場の並びに、卯建が2本並んだ場所がある。美濃には卯建を上げた家がずらりと並んでいる家並みがあるが、よく見ると卯建を上げた家と上げていない家が交互に並んでいる。このため、家と家の間には卯建は1本しか見られない。ところがこの場所では両方の家が競って卯建を上げたため、1カ所に2本の卯建が見られるという珍しい光景となっている。



前回訪問したときにもこの卯建を描き、ホームページの目次ページのカットに使っている(→→)。




 
 
 
   
  「岡専旅館」付近(美濃市魚屋町2019.05.25    F6   
  いらかぐみオフ会の会場は、魚屋町にある卯建の上がる宿「岡専旅館」だった。岡専旅館の前に道に座り、メンバーの到着を待ちながら、この日最後のスケッチをした。岡専旅館は昔、塩問屋をしていた建物を活用して旅館業を営み、高級旅館として知られていたが、2年ほど前から休業していた。しかし、現女将が勤めを辞めたのを機に2018年秋「卯建の上がる宿」として再開した。このことが中日新聞に掲載されたことを仲間の七ちょめさんが知り、下見を兼ねてわざわざ泊りに行かれて、今回のオフ会の会場に決まった。宿泊棟として使っている別棟を全棟使わせてもらうなど、手厚いもてなしを受けた。また夕食は近くの老舗料亭「八幡屋」へ出向くという贅沢なオフ会となった。  
 
 
美濃の卯建@(美濃市)00・08・06 F8
美濃市の中心部は以前「上有知(こうずち)」とi呼ばれ、美濃紙の集散地として栄えた。江戸時代初期以来の「目」の字になった町割りに、高々と卯建を上げた民家が軒を連ねている。今でも紙製品を扱っている店が多く、Fさんもショッピングを楽しんだようだ。

卯建のある家は全部で19軒あり、建築年代の違いによって、卯建の様式にも違いがある。一番新しい様式の卯建がある表具商のこのお宅は、1872年(明治5年)の建築とのことだった。屋根の上には珍しい「屋根神さま」もあった。












美濃の卯建A(美濃市)00・08・06 F8

美濃の卯建B(美濃市)00・08・06 F8
一番美しいうだつはやはり重文に指定されている酒造業の「小坂家」の卯建だろう。起(むく)り屋根と呼ばれる緩やかに膨らんだカーブを持つ屋根にうだつを上げ、真ん中に3本目?らしい卯建も覗いている。

郡上市八幡町へ
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