栃木県

栃木(栃木市)

  栃木は日光東照宮へお参りする朝廷の勅使(例幣使)が通る日光例幣使街道の宿場として栄え、また江戸とを結ぶ巴波(うずま)川の水運でも財力を蓄えた。「蔵の街」と呼ばれ、重厚な見世蔵(店蔵)や土蔵が市内中心部に軒を連ねている。廃藩置県後1871(明治4)年から1884(明治17)年まで、栃木県の県庁所在地だった。また市内北部の嘉右衛門町は2012(平成24)年7月に重要伝統的建造物群保存地区に選定された。  
 
 
   
  嘉右衛門町の旧味噌工場(栃木市)2018.06.11    F6  
  栃木市のホテルでも雨の朝を迎えた。止みそうにないので@何とか濡れずに描ける場所を探すAどうしても描きたい場所は写真に撮って帰宅後絵にする――の両面作戦で臨むことにした。栃木市は2度目だが、まず前回足を向けなかった「嘉右衛門町」へ行った。町内を通り抜ける例幣使街道を北へ向かうと、間口を全面オープンして作業場にしている大工さんのお宅があった。お願いしてその軒下に入れてもらい向かい側の大きな味噌工場を描くことにした。味噌工場はすでに廃業しているようだったので、帰宅後調べると、この工場は「ヤマサ味噌」といい、約6000uもある敷地は2016年6月に栃木市が買い取っていて、建物などを有効活用しながら、重伝建地区の情報発信基地や交流施設として整備する計画を進めているという。  
 
雨の栃木市での1枚目は、例幣使街道沿いの間口をフルオープンにして作業場にしておられる大工さんに無理を言い、軒下を借りてスケッチした。お邪魔しました。ありがとうございました。→→





 

   
  嘉右衛門町・岡田記念館(栃木市)2018.06.11    F6  
重要伝統的建造物群保存地区に選定されている「嘉右衛門町」という町名は、天正年間に岡田嘉右衛門という人が荒れ地を開拓して水田としたことに由来するといい、江戸時代の初期に徳川幕府から「嘉右衛門新田村」との名前をもらったという。その町の南の端に「岡田記念館」「代官屋敷跡」という大きな看板を掲げた公開施設がある。一時期は代官職も勤めていたわけで、この敷地内に26代目当主の岡田嘉右衛門氏が現在も住んでおられるという。赤いポストの後ろの建物は以前郵便局をやっておられたそうで現在は喫茶室として営業している。この建物は重伝建地区を代表する建物だし、是非ともスケッチしたいと思ったが、雨を避ける場所がまったくない。仕方なく「写真から」を選択した。後方の黒い建物は「平澤商事」という肥料商で、建物はやはり江戸時代のものだそうだ。  
 
 
   
  旧栃木町役場(栃木市入舟町)2018.06.11    F6  
  明治初めの一時期、栃木県庁が栃木町に置かれ、巴波(うずま)川沿いの現・入舟町に庁舎があった。1921(大正10)年、その跡地に栃木町役場が建てられ、1937(昭和12)年から栃木市役所の庁舎として使われた。登録有形文化財のおしゃれな木造洋館で、できればスケッチしたいと思っていた。現地へ行ってみると、向かい側に規模の大きなクリニックがあり、玄関前に屋根付きの自転車置き場があった。駐車場は満杯だが、雨のため自転車でやってくる人はいないらしくがら空きなので、許可を得てそこから正面に見える旧役場庁舎をスケッチした。現在は使われていないが、2020年には山本有三、吉屋信子など地元ゆかりの文学者を顕彰する「文学館」に生まれ変わる予定という。  
 
ネットで検索したら、かつてこの地にあった県庁舎の写真があった。栃木市内の老舗写真館の所蔵とある。 


 
 
 
 
   
  塚田歴史伝説館(栃木市倭町)2018.06.11    F6  
  引き続き、巴波(うずま)川沿いの「塚田歴史伝説館」へ移動した。川沿いに長々と続く黒塀に囲まれた旧塚田家の壮大な屋敷があり、栃木市を代表する景観で、前回来た時にも描きたいと思ったが時間不足でパスした。今回も雨が避けられるポイントを探したが、とうてい無理と分かったため、また「写真から」を選択した。川を行き来する遊覧船があるらしいが、雨のためか、あるいは月曜日は運休なのか、船は岸につながれ、周辺に人影はまったくない。塚田家は江戸時代後期から木材回漕問屋を営んできた豪商。木材を筏に組んで、巴波川から利根川を経由し、行きは1昼夜、帰りは3日3晩をかけて江戸・深川の木場まで運んでいたという。  
 
 
   
  「蔵の大通り」の休日(栃木市倭町)2018.06.11    36×51p  
  「蔵の街大通り」に見世蔵が5棟も軒を並べる場所がある。前日、栃木駅からホテルに向かうとき、その向かい側に軒の深いスターバックスの店舗があるのを見つけ、「最後はここで描こう」と決めていた。雨もかからずゆったりスケッチできたが、残念ながら通りは店のシャッターは閉まり、人影もまったく見当たらない。雨のうえ、博物館などが閉まる月曜日のせいだと思うが、寂しい絵となった。これで3日にわたった群馬、栃木でのスケッチを切り上げ、栃木駅から東武特急で東京・浅草へ直行した。  
 
 
「蔵の街大通り」(栃木市万町)03・02・17           F8
  出張を利用して初めて栃木市に行った。巴波川に沿った商家群に挑戦しようと思ったが、画面に入りづらいスケールだし、時間も不足。市の中心部を貫く「蔵の街大通り」を歩いて、手ごろな見世蔵でお茶を濁した。夕方、東京駅で友人と約束していた。ひょっと時計を見るとかなり遅い。慌てて東武電車の栃木駅に駆け込み、すぐに発車という「準急」に乗った。これが失敗。広い関東平野にぽつんぽつんとある駅をていねいに拾っていく。待ち合わせにはかなり遅刻した。(この建物は現在「とちぎ蔵の街観光館」になっている)  

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