滋賀県

鵜川(高島市)

京都方面へ向かうJR湖西線の列車が近江高島駅を出てしばらく走りトンネルを抜けてすぐ、左側の車窓に面白い家並みが見える。母屋や土蔵、小屋などがセットになって1軒ずつ散在しており、周囲の田んぼと背景の琵琶湖とうまく調和していて、絵になる風景である。高島市の南端にある鵜川という集落で、すぐ北には湖の中に鳥居が建つ白髭神社がある。

鵜川15−1(高島市       2015.06.04      36×51p
少し前、高島市の針江へ出かけるため湖西線に乗り、久しぶりに鵜川の風景を眺めた。梅雨入りしてすぐの晴れ間、気温が低く気持ちが良いので、少し遠方へスケッチに出かける気分になり、この日のスケッチ場所に鵜川を選んだ。風が少し強いが、日差しが強く、琵琶湖の色がとてもきれい。しかし、家並みの方はやはり列車の窓からがベストアングルで、現地に出かけても車窓からのような景色を見ることはできないことを再確認した。仕方なく鉄道の築堤を背にして田んぼの畔に座り「もう少し視点が高ければなあ」と思いながらスケッチした。

鵜川15−2(高島市       2015.06.04    25×41p
列車の車窓とまで贅沢は言わないまでも、もう少し視点を上げることはできないか…。湖西線を越えた山側斜面には棚田が広がっており、その高い場所まで登ってみたが、鉄道の土手が邪魔して家並みが見えない。このあたりの湖西線は築堤方式の高架になっており、下部はコンクリート擁壁で、上部の斜面は葛が生い茂っている。うろうろしていたら1カ所だけコンクリート擁壁に足を掛けて上れる場所が見つかった。葛の斜面を少しだけ這い上って、何とかスケッチブックを広げた。今度は家並みの向こうに湖面がたくさん見え、アングルはだいぶ良くなった。頭の上を特急「サンダーバード」が轟音を上げて走り過ぎる。とくに表示はないが、立ち入り禁止の場所に違いなく、サンダーバードの運転士にスケッチ姿をチェックされないか少し冷や冷やした。それにしても物好きなスケッチである。

鵜川(高島町=当時)04・07・12        キャンソンF8
湖西線の車窓から眺めた鵜川集落の風景が面白いので、この日は高島町の中心部・勝野で描いたあと、鵜川に立ち寄った。建物の年代はそう古いとは思えないが、切妻の屋根がリズミカルに並んでいて絵になる。雨に追いかけられながら急いでスケッチした。

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