滋賀県

朝宮(甲賀市信楽町)

陶器の里・信楽の西側にある朝宮は日本最古のお茶の産地だそうである。805年に伝教大師(最澄)が中国から持ち帰った種をこの地にまいたのが始まりで、1200年の歴史がある。それからおよそ400年後の1192年に栄西禅師が中国から持ち帰った種を九州の背振山にまき、そこから「八女茶」「宇治茶」「静岡茶」「狭山茶」などが生まれたという。

朝宮B(甲賀市信楽町上朝宮)2012.05.21     36×51cm
新茶の季節である。ひょっとしたら田植えの済んだ田んぼと茶畑の組み合わせも描けるかもしれないと思い、朝宮へ行った。実はこの絵はこの日の4枚目なのだが、ずいぶん努力した結果、茶畑と面白い家並みが同時に描ける場所にたどりつくことができた。家並みの向こうには水の入った田んぼもかすかに見える。下のAの絵で家並みの後ろに見える茶畑に上った。

朝宮C(甲賀市信楽町上朝宮)2012.05.21     36×51cm
この日の1枚目。国道307号線で車を走らせながら、横目で面白い家並みと田植えの終わった田んぼが組み合わせできるポイントを探した。この道はまっすぐで道幅も広いものの、大型トラックなどの通行量が結構多く、考えてみると危険な行為である。実はこの場所は08年にも描いたことがある。しかし、絵を失敗してホームページには掲載していない。

朝宮D(甲賀市信楽町上朝宮)2012.05.21     F6
朝宮ではやはり茶畑が描きたい。しかも家並みの面白さと組み合わせたいと、丘陵地に広がる集落内を歩き回って、ようやくそれらしい場所を見つけた。しかし、家並みと茶畑をうまく画面に収めるには、ひと様の屋敷内に入り込む必要がある。声をかけたが留守らしいので、ちょっと遠慮しながら、しかし厚かましく庭先に入れてもらってスケッチした。

朝宮E(甲賀市信楽町上朝宮)2012.05.21     F6
朝宮の集落内をうろうろしていて、ふとこのアングルが気に入った。残念ながら茶畑は視野に入らないが、正面奥に見える元茅葺き屋根の民家やその手前の製茶工場の建物、手前の家のプロパンガスボンベなどが面白い。側溝に落ち込みそうになりながらスケッチした。

朝宮A(甲賀市信楽町)08.05.04  36×51cm
信楽へ行く途中で朝宮を通りかかると、あまりにも新緑がきれいなので、道端に車を止めて道草をした。3軒の元萱葺き屋根民家とその背後の茶畑が描きたかった。手前のごみごみしたもの(ごみ焼却炉や仮設トイレまである)が邪魔だったが、どれを省いてどれを残すか考えるのが面倒なので、見えるものをみんな描いた。

朝宮@(信楽町=当時)95・1・16 F8
人影も見当たらない冬の茶畑で一人絵を描き続けていると、何かの修行をやっているような気もしてくる。薄らと残る雪がいつまでも消えなかった。この絵を描いた翌朝、突き上げるような揺れでたたき起こされた。阪神淡路大震災の前日に描いた絵である。

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