埼玉県

川越(川越市)

川越は「小江戸」と呼ばれる。小江戸とは「江戸の風情を残す町」という意味であろう。江戸時代後期に耐火建築として江戸で盛んに建てられた蔵造りの建物が建ち並ぶ様を“江戸の風情”と呼ぶのはうなずける。1893年(明治26年)に川越の市街地の大半を焼きつくす大火が発生、その後、蔵造りの建物がいっせいに建てられたという。今に残る“蔵の町”は、実は「江戸」ではなく、「明治」の町並みなのである。

時の鐘付近@(川越市幸町)2012.05.25     36×51cm
「いらかぐみ」のオフ会が青梅市の「御岳山」で開かれるのを機に、1日先行して川越でスケッチすることにした。夕方、この近くに住む会社時代の友人と久しぶりに一杯やるのも、川越を選んだ理由である。自宅最寄り駅で初発電車に乗れば、午前9時台に川越でスケッチを始められるというのも嬉しい。ところが東武東上線の川越駅からスケッチポイントの「蔵造りの町並み」へ向かっている途中で、パラパラと雨が降り出したではないか。取りあえず町のシンボルである「時の鐘」がみえる場所まで行き、夫婦で営んでおられる角のお菓子屋さんにお願いして軒下を借りた。「時の鐘」は寛永時代に建てられ、今でも1日4回、鐘の音を響かせている。

雨の一番街(川越市幸町)2012.05.25     36×51cm
雨がなかなかやまない。スケッチポイントを探すより、雨を避ける軒下探しを優先せざるを得なくなった。駅でもらったマップによると、蔵造りの町並みのなかで一番迫力のあるポイントを「一番街」と呼ぶらしい。とにかくここを描きたいと思い、道の向かい側にある洋品店に無理を言って、軒下に入れてもらった。黒漆喰の重厚な蔵造りの家を表現するため粗目の紙を選んだ。幸い洋品店は軒が深いのでゆったりスケッチしていると、歩道を小学生の団体が取り過ぎていく。楽しみにしていた遠足なのだろうが、雨とはかわいそう。

亀屋B(川越市仲町)2012.05.25     F6
川越でスケッチするのは10年ぶり2回目。雨が避けられる場所を探しながら亀屋のある仲町までやって来ると、店の向かい側が事務所ビルになっており、入口で濡れずにスケッチできそう。「前回と同じだけど…」と思いながら、スケッチした。川越の名物はサツマイモのお菓子で、町にはお菓子屋が多い。この亀屋はその中でも大変な老舗のようだ。

時の鐘付近A(川越市幸町)2012.05.25     F6
雨が小止みになったので、再び「時の鐘」付近へ戻った。最初の1枚とほぼ同じアングルだが、道路を渡り散髪屋の小さな軒の下に入って描くことにした。今朝ほど店先をお借りしたお菓子屋(この絵の右側)のご主人がわざわざ信号を渡って来られ、少し話をしたりした。ところが左から半分ほど描き進んだところで、突然豪雨になった。道具を片付ける間に、紙も着ているものもびしょ濡れになってしまった。仕方なく中断。白紙のまま残った絵の右側、お菓子屋の部分は帰宅後、写真から。

時の鐘付近B(川越市幸町)2012.05.26     F6
翌朝は昨日の天気がうそのようによく晴れ上がっている。ホテルは朝食なしのプランだったため、次の予定地の青梅市へ向かう前にもう1枚欲張る気になった。朝7時にチェックアウト、昨日は屋根がなくてあきらめた「時の鐘」を東側から眺めるアングルで描くことにした。しかし、朝早いので街に賑わいがなく、面白くない。後で、観光客、幟や旗、ソフトクリームのディスプレーなどを付け加えておいた。

亀屋@(川越市仲町)02・06・19    F8
仕事で埼玉県に出かけるチャンスがあった。絵を描く目的で関東へ出かけたことがなかったが、ちょうど出張先が東武東上線で川越のちょっと先。「この際」という気持ちで帰路、途中下車した。

亀屋A(川越市仲町)02・06・19      F8
東武の川越駅で「駅前からバスに乗ったほうがいいよ」と言われたが、何となく歩いてみたくなった。西武の本川越駅を過ぎると「蔵造りの町並み」に入る。明治26年の大火を機に防火を目的として多くの蔵造りの建物ができたそうだ。巨大な鬼瓦と黒漆喰壁の重々しい建物がずらっと並ぶ風景は西日本では見られない。「時の鐘」という建物があった。川越の絵を描くなら普通はこれだろうなどと思いながら、このお菓子屋の「亀屋」が気に入った。

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