奈良県

月ヶ瀬(奈良市)

月ヶ瀬は梅林で知られ、また大和茶の産地として有名である。京都府南山城村にある高山ダムのダム湖に沿って集落が点在しているが、旧月ヶ瀬村は平成の大合併で県都・奈良市の一部になった。イメージとしては三重県の伊賀上野(現・伊賀市)の一部という感じもする。

桃香野(奈良市月ヶ瀬)2014.04.23      36×51cm
これ以上の好天はないという日だったので、ちょっと早めに家を出て、月ヶ瀬へ行った。南山城村から奈良市月ヶ瀬へ入ったところに桃香野(ももがの)という集落があった。梅の里なのに桃の香りとはこれいかに、といった地名である。高山ダム湖(月ヶ瀬湖)に八幡橋という吊り橋が架かっていて、橋の上からの眺めは、山の上まで家々が点在、とても魅力的だった。しかし吊り橋は幅が狭く、車が通ると揺れて怖そうなので、橋の袂に座った。湖面から間欠的に噴水が上る。描き込もうかななと思ったが、あまりにも絵葉書のようになるので、止めた。

月ヶ瀬湖と八幡橋(奈良市月ヶ瀬桃香野)2014.04.23      F6
1枚目のスケッチをした八幡橋という吊り橋から後ろを振り返ると、山の上に向かう道に沿って茶畑が広がっている。「あそこまで行けば、大好きな茶畑と八幡橋、月ヶ瀬湖の組み合わせが描けるのではないか」と想像して移動した。行ってみると予想を超える素晴らしい風景が展開していた。山の斜面に頂上近くまで家々が散らばっているのも珍しい。梅やお茶の栽培には山の上の日当たりの良い場所が適切なのかもしれない。川沿いの低地はダム湖の底に沈んでしまったし、あるいはもともと田んぼはなさなそうだから、昔から米以外の換金作物を作らざるを得なかったのかもしれない。「絵に描いたような景色」という表現があるが、実際の景色はこの不出来な絵よりうんと美しかった。

桃香野の家並み(奈良市月ヶ瀬桃香野)2014.04.23      F6
山の斜面に展開する桃香野集落の家並みは最初から気になっていた。1枚目、2枚目は遠くからその全体像を描いたが、今度は近づいてその一部分をアップで描いてみた。急斜面に家々がひしめく風景は大好きなモチーフの一つである。県道の桃香野バス停付近からお手軽スケッチでお茶を濁したが、坂道を上り下りしてアングルを探せば魅力的なスケッチポイントがまだまだありそうであった。

月瀬から(奈良市月ヶ瀬月瀬)2014.04.23      36×51p
「桃香野」にはまだスケッチポイントがありそうで、心残りだったが、皆さんがよく絵にされている赤い橋(月ヶ瀬橋)の周辺が気になり、移動した。ここでも山の上の方に民家が見えるが、どこかに良いスケッチポイントはないかと、半ば当てずっぽうで山道に乗り入れた。しばらく上ると「月瀬」という集落があり、一番高い所にコンクリート製の立派な展望台まで造られている。月瀬は「つきがせ」ではなく「つきせ」と読むようだ。月瀬の民家の屋根越しに、月ヶ瀬湖と月ヶ瀬橋が見える。遠くに風車がたくさん建った山が見えた。帰宅後「三重県 風力発電」で検索してみると「青山高原ウィンドファーム」と「ウインドパーク笠取」という二つの施設が隣接しており、わが国有数の発電基地であることを知った。

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