奈良県

東岡町(大和郡山市)

大和郡山の洞泉寺町でスケッチしている時、市内にもう1カ所、「岡町」という元花街があるという話を聞いた。改めて出かけてみて驚いた。建物そのものは洞泉寺町の方が立派かもしれないが、狭い路地に3階建ての建物がひしめき、町全体になまめかしい香りが残っていた。それにしてもそれほど人口も多くない大和郡山になぜ花街が2カ所もできたのだろうか。

   
  12年ぶりの東岡町(大和郡山市)2019.03.31   F6  
  悠彩会スケッチ会の続き。郡山駅前の食堂で昼食後、何人かの仲間と駅の南にある東岡町へ行った。この町の佇まいに興味を持ち、04年8月に集中して出かけて、このページにあるように何枚も描いている。最後に行ったのは07年なので12年ぶりに足を踏み入れたわけだが、ずらりと並んでいた木造3階建ての元遊郭の建物はほとんどが取り壊されて、跡地には普通の住宅が建っていた。その中でわずかに残る建物に焦点を当てて描いた。もちろん空家で「貸し家」との張り紙が出ていた。隣接する左側の建物は荒れ放題のまま放置されていた。  
 
 

























東岡町(奈良県大和郡山市)07.05.04
51×36cm
 
スケッチをホームページに掲載するようになって、パソコンの画面で見にくいとの理由から、縦向きの絵はなるべく避けるようにしている。しかし、木造3階建ての建物がひしめく東岡町のこのポイントだけは縦向きでないといかんともしがたい。2月にもここへ行ったが、寒いので暖かくなってから出直そうと思い、日当たりを探して下の絵を描いた。今度行ってみると、たった2カ月余りの間に左側の1軒が取り壊され更地になっている。近所の人によると「先週工事が終わったばかり」とか。それだけ迫力が減ったともいえるが、時代の流れには抗せない。

金魚養殖池A(大和郡山市東岡町)07.02.20    36×51cm
春のよう、というよりまだ2月なのに春そのものである。こんな日には主婦は洗濯をしたくなる。シャツもパッチも洗ったし、タオルもシーツも洗った。おまけに布団も干しておこう、というわけで盛大に洗濯物が並んでいる。スケッチしている方も厚手のジャンパーを脱ぎたくなるほど暖かい。その暖かさのせいかどうか知らないが、手前の金魚の養殖池では金魚がみな水面近くに浮いていた。
 
 
     
  東岡町B(大和郡山市)04・08・26     36×51cm  
  もう一度岡町へと、またスケッチに行った。町内には空き家が目立つが、この酒屋さんは現役である。丁寧な造作の格子と無造作に積み上げられたビールケースの対比に引かれた。  
 
 
   
  東岡町A(大和郡山市)04・08・15    36×51cm  
  まだまだスケッチポイントがあるとの思いから、日を置かず同じ町に足を運んだ。ユニークな建物が連続している場所を選んで描いた。町内の人によると、スケッチした建物のうち道の左側はすでにすべて空き家だそうだ。文化財的価値は知らないが、せめて個別の建物だけでも保存する手立てはないものだろうか。  

東岡町@(大和郡山市)04・08・12    36×51cm
現在の町名は東岡町という。町に入っていくとさっそくお気に入りのスケッチポイントに出会った。この建物が町内で一番古いそうだ。その向こう側に3階建ての建物も見える。

金魚養殖池@(大和郡山市)04・08・12    F8
町の南側に出ると、金魚の養殖池越しに岡町の家並みが見える。いかにも大和郡山らしい景観である。

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