奈良県

小柳(三宅町)

三宅町は奈良盆地のほぼ中央にある。このあたりには面積の小さな町がたくさんあり、三宅町も4平方kmしかない。しかし豊かな穀倉地帯で、奈良時代から都の食糧生産を担っていたという。町の西端にある小柳(おやなぎ)は、曽我川と飛鳥川に挟まれていて昔から洪水が絶えず、護岸工事とともに柳を植えたところ、その柳が目印となり、この地名が生まれたという。

   
  小柳18−1(三宅町))2018.10.19   36×51p  
  この日はまたとないスケッチ日和なので、どこかへ出かけたいと思った。いろいろ考えた末、昔、通りがかりに1枚だけ描いたことがある奈良県三宅町の小柳(おやなぎ)という集落を思い出した。グーグルで村中を探ってみるとなかなか面白そうなので、ここに決めた。地区の南西側を流れる蘇我川の堤防に上って俯瞰をまず1枚。狭い道の先にいかにも奈良平野らしいうだつを上げた大和棟の家が見えた。  
 
 
   
  小柳18−2(三宅町))2018.10.19   F6  
  曽我川の堤防上から見えた小路に下り、道に面して建つ大和棟のお宅に焦点を当てて描いた。狭い道なので、車が通るたびに画材を持って道を譲る羽目になった。  
 
 
   
  小柳18−3(三宅町))2018.10.19   F6  
  最初に描いた場所から蘇我川の堤防上を少し移動したところに、狭い路地を見下ろすポイントがあった。  
 
 
   
  小柳18−4(三宅町)2018.10.19    F6  
  他にスケッチポイントはないかと地区内を歩き回ったが、やはり最初に描いたうだつを上げた大和棟のお宅が魅力的なので、反対側からもう1枚描いた。  
 
 
   
  小柳18−5(三宅町)2018.10.19    F6  
  さらに地区内を歩き回り、土蔵の間に伸びる狭い路地を見つけてもう1枚描いた。路地の向こうには黄金色の田んぼが見えた。ちょうど稲刈りの真っ最中で、名残の稲ともいえる。奈良平野の真ん中の小さな村で、ほぼ1日を過ごしたことになる。  
 
 
小柳(三宅町)05.10.28 36×51cm
田んぼの向こうに古そうな家並みが見える――というのはどこにでもある田園風景だが、奈良盆地の場合は家並みの中にとがった三角形の大和棟造りが交じり、よいアクセントになる。奈良県にスケッチに行く時によく通る県道・大和郡山広陵線沿いにもそんな風景が広がっていた。帰宅して地図で確かめたら三宅町小柳という集落だった。

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