奈良県

番条(大和郡山市番条町)

大和郡山市に「番条」という環濠集落がある。近くにある稗田の方が有名で環濠そのものはよく残っているが、環濠の中の集落のたたずまいでは番条の方に軍配が上がる。複雑に入り組んだ路地を歩くと豪壮な門を構えたお宅が次から次へと姿を現す。

   
  番条・造り酒屋の前(大和郡山市番条町)2020.03.09     36×51p  
  この日は最高気温が19度と4月並みで、しかも晴天という予報。コロナウイルス騒ぎで3月の予定が軒並みキャンセルとなり、鬱々としていたので、気晴らしのスケッチに出かけることにした。いろいろ検討してしばらく行っていない大和郡山市の環濠集落・番条を行き先に選んだ。集落の中心部にある「中谷酒造」(左側のポストが見える家) の前の通りでとりあえず1枚目を描いた。下に掲載している番条Bと同じ場所を反対側から見た。  
 
 
   
  番条の環濠C(大和郡山市番条町)2020.03.09     F6   
  あまりにも良い天気なので、集落の西側を流れる佐保川の土手まで行って昼食のおにぎりを食べた。ウオーキング中の男性が「今日は気持ちがいいですね」と声を掛けてきた。2枚目は環濠集落らしい雰囲気を描きたいと思い、環濠と家並みの組み合わせを選んだ。集落の東側入り口にある公民館の裏手に濠の様子がよく見える場所があった。一日中日陰で、じめじめしており、本来なら寒くて避けたい場所だが、この日は暖かいので少しも気にならなかった。  
 
 
   
  「番条町北」バス停付近(大和郡山市番条町)2020.03.09     F6  
  集落の入り口に建つ公民館前から見える家並みも面白く、前にも1度描いている(番条A)。目の前にはコミュニティーバスの「番条町北」というバス停の標識があった。スケッチ中にそのバス「元気治道号(げんきはるみちごう)」がやって来たが、乗降客はゼロ。バス停の時刻表を見ると一日に3便しかなかった。  
 
 
   
  熊野神社付近(大和郡山市番条町)2020.03.09     F6   
  番条集落の北の端の方に「熊野神社」がある。この日は神社の鳥居前の広場に車を止めさせてもらった。そこまで帰ってきて、狭い道を挟んだ家並みの向こうに鳥居が見えるポイントでもう1枚描く気になった。以前同じ場所で、反対向きの南向きに2度描いている。  
 
 
   
  番条の環濠D(大和郡山市番条町)2020.03.09     F6  
  番条集落の一番北、川の堤防に沿って環濠の遺構らしい濠が残っている。濠に沿って建つ建物の構成や濠への映り込みが面白く、何回かスケッチしている。堤防の上から眺めたこの構図も2度目だが、いかにも難しいことを実感した。  
 
 
   
  番条の環濠E(大和郡山市番条町)2020.03.09     27×38p(八つ切り)   
  番条集落の一番北の環濠を東側からもう1枚描こうかと思ったが、時間も遅くなったので写真を撮り、帰宅後絵にした。こちら側からの方が濠への映り込みが綺麗で、いかにも環濠集落らしい景観ともいえる。  
 
 
番条の環濠B(大和郡山市番条町)2014.03.28      36×51cm
あまりにも気持ちのよさそうな天気なので、急にスケッチに出かけたくなった。行先を決めないまま家を出たが、遅めの出発なのであまり遠くへは行けない。結局、大和郡山市で環濠集落として知られる番条町へ行き着いた。集落の一番北側、佐保川の堤防の上から環濠の切れっ端を見下ろす、環濠集落らしいポイントを選んで座った。構図的に難しいこの場所では一度失敗して、絵をボツにしたことがある。

環濠集落内の「下ツ道」(大和郡山市番条町)2014.03.28      F6
この日の2枚目は集落内の北の方にある熊野神社近くの小路で、重厚な家並みを描いた。この場所では一番下の絵にあるように04年6月に描いている。この道が集落内を南北に貫くメーン道路で、かつて藤原京と平城京を結んでいた大和の古道の一つ「下ツ道」(中街道)の道筋に当たるとされる。

番条の路地(大和郡山市番条町)2014.03.28      F6
番条集落の真ん中に「中谷酒造」という酒蔵があり、その酒蔵を正面に見る幅の狭い路地は両側に豪勢な家々が並び、一度描いてみたいと思っていた。通りがかりに絵を覗き込んだ人が「パソコンに絵をたくさん載せている人ですか」と言われる。これまでこの町で住んでおられる人から声を掛けられたことはなかったが、絵はちゃんと見られているのだと再認識。その人によると、集落の周辺に残る環濠の改修工事が近く始まるそうで、「南の方からコンクリートで固められますよ」ということだった。歴史的には価値がある環濠だろうが、どぶ川のような感じになっている場所もあり、仕方のないことかもしれない。

番条の「荻」(大和郡山市番条町)      2012.11.25        F6
この日はよく晴れているので紅葉を描きに明日香にでも行こうかと家を出たが、途中で車を運転するのが面倒になり、番条で途中下車した。集落に入るため、佐保川の土手に車を止め、そこでふと見えた景色が気に入った。逆光の中で霞む遠くの山並みと手前の家並みが魅力的。何よりも手前で白く輝くアシの穂がとてもきれいだったので、その場に椅子を置き、お手軽スケッチをした。ところが帰宅後、ネットで検索していて、アシだと思った白い穂はどうやら「オギ(荻)」らしいことが分かった。オギはイネ科ススキ属、つまりススキ(茅、尾花)の親戚で、見た目はよく似ているが、ススキは乾いた場所に繁殖するのに対し、オギは湿地に生えるという。アシ(ヨシ)はもっと湿った場所(水中)で生育するらしい。

番条の環濠@(大和郡山市番条町)      2012.11.25        F6
田んぼに水のない季節なので、畔を伝い集落南東、田んぼの真ん中に堀川のある場所へ初めて行ってみた。この堀川が本当に長い歴史を経た環濠の名残なのか、あるいは単なる農業用水路なのかは知らないが、せっかくなので環濠の遺構と思うことにした。

番条の環濠A(大和郡山市番条町)      2012.11.25        36×51cm
上に掲載の環濠風景を描いた同じ場所で、椅子を90度回して2枚目を描いた。環濠の様子はうまく伝わらない代わりに、番条の家々がいかに豪勢かが分かるアングルである。各家それぞれに土蔵を構えている。背中に暖かい日差しを受けながらスケッチしたが、晩秋から冬にかけては日差しが何よりのご馳走である。

番条の酒蔵(大和郡山市番条町)      2012.11.25        F6
集落東側の田んぼの真ん中で環濠の風景を描いたが、時間経過とともに日差しが東から西へ動いたので、集落西側の佐保川の堤防に上ってポイントを探した。番条には「中谷酒造」という酒蔵がある。堤防の上からその酒蔵の煙突を中心に据えて描いてみた。いろんな建物が複雑に入り組んでいる家並みを面白いと思った。日曜日のため手前にある工務店の敷地(?)ではダンプカーや乗用車が骨休めしていた。

番条の小道(大和郡山市番条町)      2012.11.25        F6
集落の一番北側に濠が形よく残っている場所があり、以前スケッチした(下のD)。今回も行ってみたが、午後遅めなので、逆光で景色がよく見えない。このためすぐその近くで家並みに陽が当たっている場所を選んで、もう1枚描いた。あまりスケッチ向きとは言えない小道なので、通りかかる人が「何をしているのか」と不審そうな顔をする。「怪しい者ではありませんよ」という意味で「こんにちは」と明るく挨拶することにした。

環濠集落の夏(大和郡山市番条町)10.08.05
この日は「稗田」と「番条」という二つの環濠集落を訪問した。真夏に「番条」へ行ったのは初めてだが、午後遅かったので集落の入り口にある公民館の東側に日影があった。夏草が茂る濠の表現にはちょっと苦労したが、田んぼの稲の上を渡ってくる風は案外涼しかった。

番条D(大和郡山市)08.04.02  36×51cm
番条地区の一番北側に濠がきれいに残っている場所があり、一度ここでスケッチして見事に失敗したのを思い出し、この日再び行ってみた。濠には枯れ草がきたなく茂っていたが、スケッチではきれいに掃除しておいた。絵の右側は佐保川の堤防で、菜の花が今を盛りに咲き誇っていた。

番条C(大和郡山市)08.04.02  36×51cm
町並み探索が趣味の人には有名な場所だが、こんなところでスケッチする人はいないので、「不審者では?」という視線を浴びながら、ポイントを探した。1時間近く歩き回って、結局、最初に描こうかなと思った場所に落ち着いた。この道は大和の古道の一つ「下ツ道」の道筋に当たる。リュックを背負ったお年寄り団体が通り過ぎていった。

番条B(大和郡山市)06.06.18 36×51cm
町内のどこでも絵になる雰囲気だが、中谷酒造のあるこの付近が一番よく整った町並みである。この日は環濠沿いの家並みを描こうと思っていたが、重機が入ってポイントになる家を盛んに壊している。仕方なく、いずれは・・・と思っていたこの場所を描いた。日陰はゼロ。暑かった。

番条A(大和郡山市番条町)05.03.30 36×51cm
まだまだ描きたいポイントが多いような感じがしていたので、本格的な春の訪れを待って、再び番条へ。たっぷり日差しを受けながらスケッチしたら、すぐに上着が不要になった。

番条@(大和郡山市番条町)04・06・04 36×51cm
軽自動車がやっと通れる道で絵の道具を広げていたが、片付けて道を譲る羽目になったのはたった1回。時間がゆっくり流れている。集落の中に造り酒屋があって「萬穣」という看板が上がっている。おそらく「ばんじょう」と読むのだろう。

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