京都府

天使突抜(京都市下京区)

京都市下京区に「天使突抜」という変わった町名の町がある。昔、五条天神社(天使の宮)の森を突き抜けてこの道が作られたことに由来する名前とか。通りの名前は東中筋通といい、車も通らない(通れない)石畳の小路で、いかにも京都らしい風景ともいえる。

天使突抜(京都市下京区)2013.08.07        F6
しばらくスケッチが途絶えており、どこへ行こうか迷った結果、与堂さんが描かれてとても印象に残っていた「天使突抜」を思い出した。車の通らない狭い路地なので、厚かましくも道の真ん中に座って描いた。「天使」は通らないが、いろんな人がけっこう通り抜ける。「すみません。邪魔しています」と何回も声を出しながらスケッチした。現地へ着いた11時ごろはまだ日陰があったが、やがて太陽は真後ろに移動して影がなくなり、暑くなった。

稲荷路地(京都市下京区高辻通西洞院西入ル)2013.08.07        F6
「天使突抜」のすぐ東側に並行して、奥の突き当りにお稲荷さんのある狭い路地がある。入り口からこれを描きたかったが、すでに日陰がない。高辻通の南側の歩道には日陰があるので、道路を渡り軒下に座ってスケッチした。路地の名前は「稲荷路地」というそうだが、正確かどうかわからない。路地入口の西側には「道元禅師示寂聖地」との石碑が建っていた。曹洞宗の開祖・道元は越前に永平寺を開いたあと、建長5(1253)年、この地で没したという。稲荷路地か道元終焉の地か、どちらに焦点を当てた分からない絵になったが、まあ、いかにも京都らしい一画といえる。

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