京都府

産寧坂(京都市東山区)

清水寺に近い産寧坂(三年坂)はその北側にある二年坂とともに京都でももっとも観光客の多い場所だろう。坂に沿った屋根の重なりが面白く、京都の観光パンフレットなどの写真にもよく取り上げられている。ここで写真を撮る場合は人影のない早朝に、と言われているが、スケッチの場合は人目にさらされる覚悟さえできておればいつでもよい。

   
  「産寧坂」のしだれ桜(京都市東山区)2018.03.25     F6   
  大阪も京都もインバウンドブームである。中でも道頓堀や清水寺界隈の混雑は半端ではない。久しぶりの京都スケッチで、ふと、清水寺へ向かう産寧坂のしだれ桜が満開だろうなと想像した。いっそのこと大混雑する風景を描いてやろうと、産寧坂へ行った。いくら混んでいてもスケッチできるいつものポイントへ座った。しかし、桜の表現は難しい、あまりにも人の数が多い、逆光で屋根の様子がよく分からない――などに苦しみながら何とか。  
 
 
産寧坂D(京都市東山区)    2015.09.12     F6   
先日、与堂さんが描かれた産寧坂の絵が印象に残っていたので、茶碗坂で描いたあと産寧坂へ行った。坂を下り切ったところに店や通行人の邪魔にならずにスケッチできるポイントがあった。与堂さんもこのポイントから描かれたらしい。しかし物凄い数の観光客で石段が見えないほど。画面の上の方の屋根の重なりから描いていき、大勢の人の姿を描き込んでフィニッシュにしようと考えていたが、最後に右下のひょうたん屋の店頭風景が残り、これが一番面倒だった。

産寧坂C(京都市東山区)     2012.10.14        36×51cm
この日、友人が結成しているフォークバンドが円山公園音楽堂で開かれる「カントリードリーム」に出演するので、聞きに行った。長々と続くコンサートなので、友人のバンドの出演時間に合わせ、産寧坂で1枚スケッチした。産寧坂は昨年の3月以来なのだが、何だか久しぶりのような気がする。坂の下のベストポジションでは先客がスケッチしておられる。ひょっとして顔見知りの人かなと思い、覗き込んでみた。絵はずいぶん達者だったが、知らない人だった。遠慮して少し後ろの興正寺霊山別院の参道に座った。

産寧坂の桜(京都市東山区)     2011.03.30     36×51cm
この日、産寧坂へ行くと、坂の途中にある枝垂桜が早くも満開になっている。めったにない機会なので桜を主役にして描くことにした。それにしても人通りが多い。まるで通勤時間帯の駅の階段のような混み具合である。道端に座ったので、描いている途中に100回ぐらいはお褒めの言葉を頂いたような気がする。それはそれでありがたく、嬉しいことなのだが、目の前がよく見えず、スケッチにずいぶんてこずった。

産寧坂の冬(京都市東山区)    09.12.08    36×51cm
電柱が撤去された二年坂から産寧坂(三年坂)にかけて歩いてみた。いかにもすっきりしたが、電柱好きの私としてはちょっとさみしい気もする。産寧坂を登ったところでふと後ろを振り返ると、遠くまで甍の波が見渡せて新鮮な感じがした。電柱がなくなったせいというより、坂の途中にあるシダレザクラの葉っぱが落ちてしまったためであろう。「今の季節しか描けない景色」と思い、陽だまりの坂の上に座ってスケッチした。

産寧坂B(京都市東山区)     09.05.27   36×51cm
新型インフルエンザ騒ぎで京都への修学旅行の中止が相次ぎ、観光地は閑古鳥が鳴いているという。久しぶりに京都でスケッチしたくなり、産寧坂あたりへ出かけたが、人通りも少なく、気楽にスケッチができた。目の前のおみやげ屋さんによると「こんなにヒマなのは古都税騒ぎで清水寺の門が閉まった時(1985年)以来」だという。この日は何となしに与堂さんも近くでスケッチしておられるような気がした。電話してみると、至近距離におられた。この場所で合流して、絵の左側に描き込んである蕎麦屋で昼食にした。

産寧坂の春(京都市東山区)     07.03.23     36×51cm
暖かい日差しに誘われ京都へ。久しぶりに産寧坂の下に座った。枝垂桜が咲いている。春の観光シーズンに入り、とにかく人の数が多い。冬用のコートを着た人から半袖の人まで、服装はバラバラ。私のスケッチ姿は観光地の見世物状態なので、外国語で話しかけてくる人も多いが、こちらが出来るの”関西訛り”の日本語だけ。残念ながら無意味な愛想笑いを返すだけである。

産寧坂A(京都市東山区)     05.07.07     36×51cm
暑い日だったが、その気になって道端に座った。スケッチしている横で人力車の車引きのアルバイト学生が観光客に声を掛け続けている。しかし、私がいる間にとうとうお客は一人もつかまらなかった。何しろ暑いし、少し気の毒になった。「がんばってね」とその場を去ったが、そのあと乗る人があったか気になっている。

このころは水性ペンで描き、着色しないままの絵も多い。


産寧坂@(京都市東山区)93・04      F8















京都市東山区・清水寺あたり
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