京都府

西陣(京都市上京区、北区)

西陣の名前は、応仁の乱の時、山名宗全が率いる西軍の陣地が置かれたことに由来する。乱が終わって各地に離散していた織物職人たちが京都に戻り、陣地が置かれていたあたりで織物作りを再開し、それ以降、織物産地として長い歴史を歩むことになる。しかし、和装産業そのものがかつての勢いはなく、この町にも空き地が目立ち、町並みとしての魅力は薄れてきている。

表千家・不審庵(京都市上京区小川通寺之内上ル       2015.06.02    F6
小川通寺之内上ルに表千家・不審庵と裏千家・今日庵が南北に並んでいる。この日は知人の出展するグループ展が京都・三条通のギャラリーで開かれているので、訪問前に京都のどこかでスケッチすることにした。さてどこで描こうかと思案し、この場所を思いついた。不審庵の門の建物が描きごたえがありそう、という理由で表千家の方を選び、向かい側の建物の軒下に座った。何しろ茶道の本拠地だけに、門前でスケッチブックを広げる行為が許されるのか、不審者扱いされるのではないか、と少し不安があった。しかし、通り過ぎる関係者と思われる皆さんの視線は結構優しかった。このあたりも広い意味で西陣地区に含まれるようなので、このページに掲載する。

「さらさ西陣」(京都市北区紫野東藤ノ森町)    2014.11.20       F6
この日の夜、京都で高校の同窓会があり、早めに出かけてスケッチした。時間がたっぷりあったので、かねて気になっていた船岡山へ登ってみた。船岡山は西陣地区の北側にあり、上から西陣の町が俯瞰できるのではないかと期待した。しかし、山頂まで登ったが立木が邪魔して展望が効かない。仕方なく麓の町を歩いていると、銭湯を改造したというカフェ「さらさ西陣」の前に出た。唐破風の入り口が立派。並びにある蕎麦屋は味で有名な店とか。すぐ近くに国の登録文化財という「船岡温泉」があったが、前面に岩と立木があって建物がよく見えないため、スケッチは見送った。

紋屋図子A(京都市上京区紋屋町))    2014.11.20       F6
引き続き西陣を歩いたが、もう一つピンとくるポイントがない。そのうちに以前描いたことがある「紋屋図子」(大宮通五辻上ル西入ル紋屋町)へ差しかかった。家並みの真ん中に土蔵の白壁があり、よいアクセントになっているので、ここで描くことにした。しばらくすると小学生の団体がぞろぞろとやってきた(写真)。「社会見学?」と聞くと「いえ、修学旅行です」との答え。確か新潟県の学校と聞いたような気がするが、この場所はいかにも西陣らしいポイントとは言え、よくぞこんなマイナーな場所を修学旅行の見学先に選んだなと、ちょっと驚いた。




西陣・硯屋町(京都市上京区上立売通智恵光院東入ル)11.07.21      F6
硯屋町は昔下宿していた場所のすぐそばである。しかし、当時は古い町並みなどに関心はなかったため、この狭い通りに足を踏み入れるのも初めて。スケッチしていると、目の前のお宅のご主人が外に出てこられ少し話しをしたが、「この通りの南側には古い建物が残っているのに、北側はすべて建て替えられてしまった」と解説してくれた。

西陣・姥ケ榎木町(京都市上京区五辻通千本東入ル2丁目上ル) 11.07.21      36×51cm 
このポイントは「OHさんのスケッチ散策」を見て訪ねた。この場所は伝統的建物の機屋さんが向かい合わせにあり、その点で西陣らしいといえる。スケッチのため無断で軒下をお借りした左側の機屋さんは「六文字屋」といい、同社ホームページによると元禄3年(1690年)創業という大変な老舗である。

西陣・有馬町A(京都市上京区淨福寺通今出川上ル) 11.07.21      F6
下のスケッチをした家並みの中に路地(ろうじ)の入り口が見えたので、引き続き2枚目を描いた。こうした路地は大阪でも見かけることがあるが、やっぱりいかにも京都の都心部らしい町並みの特徴だと思う。

西陣・有馬町@(京都市上京区淨福寺通今出川上ル) 11.07.21      F6
久しぶりに京都の西陣へ行った。前回、西陣へ行った時は「今出川大宮」のバス停で降りたので、今回は一つ西の「今出川淨福寺」まで行き、淨福寺通を北へ行くとすぐにこの家並みがあった。屋根の並びに変化があって何だか面白いので、とりあえず1枚。

三上家長屋(京都市上京区紋屋町) 09.05.12   F6 
この日、三上家長屋の前まで行き、描こうかどうしようか迷っていると、いきなり「写真を撮るのか」と鋭い口調でとがめられた。聞けば三上家の当主ご本人だそうで「門の中は私有地なのに、無遠慮なカメラマニアに迷惑している」とのことである。「写真ではなくスケッチなんですが」というと「プロかアマか」と聞かれる。「アマならOK」ということで、せっかく許しが出たことでもあり、門の外から1枚描くことにした。しばらくして外出から帰ってきたご当主としばらく雑談。珍しい体験であった。

西陣・紋屋図子@(京都市上京区紋屋町) 08.09.23   36×51cm 
西陣に「紋屋図子」と呼ばれる小路があることを最近知った。紋屋とは宮中に納める有職織物を取り仕切る織元のことで、明治初期までは御寮織物司と呼ばれていたという。図子とは通り抜けできる路地のこと。絵の右手の自転車が止まっているところに紋屋の「三上家」がある。要は西陣織物産地の中でここが最も西陣らしい場所といえそうである。正式町名は「上京区大宮通五辻上ル西入ル紋屋町」という。

西陣(京都市上京区智恵光院通寺之内下ル) 04.12.14       36×51cm
友人の個展へ行くついでに西陣でスケッチした。学生時代、西陣の真ん中に下宿していたし、仕事を始めて最初に担当したのも西陣で、私にとってとても馴染みのある町である。智恵光院通寺之内下ルで派手なデザインの土蔵がある織物会社の建物を描いた。元の下宿先のすぐ近くなので立ち寄ってみたら、学生向けマンションに建て替えられていた。(11年にこの場所を探したが、派手な土蔵は見当たらなかった。取り壊し?)

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