兵庫県

室津(たつの市御津町)

室津は瀬戸内の重要港として帆船時代には大いに栄えた。海岸沿いに走る国道250号線から町を見下ろすと、湾が深く入り込み、潮待ちや風待ちに適した天然の良港だったことをうかがい知ることができる。細い道に面して曲がりくねって続く古い町並みも魅力的である。

室津10−1・室津”百軒”(たつの市御津町)10.04.18       36×51cm
室津はその殷賑ぶりからかつて「室津千軒」と呼ばれた。2度目なので、”千軒”は無理でもせめて”百軒”くらいは描いてみようと思った。国道から室津の町へ降りる橋が港の上に大きく張り出しており、その橋の上からは家並みも船もよく見える。最初はその橋の欄干にスケッチブックを置いて描き始めたが、多くの家を描くにはやはり不安定なので、国道に戻り、椅子に座って描き直した。多分、百軒ほど描いたと思うが、画面のほとんどが空と海なので、スケッチは思っていたより短時間で終わった。

室津10−2・海駅館あたり(たつの市御津町)10.04.18       F6
2枚目は古い町並みでも描くかと、たつの市立の「室津海駅館」となっている建物の周辺を描いてみた。古くからの良港だった室津は江戸時代に船でやってくる西国大名の参勤交代で賑わい、それなりに古い町並みが残っている。海駅館は以前「嶋屋」という廻船問屋だった建物を利用して資料館にしたもの。

室津10−3・室津港@(たつの市御津町)10.04.18       F6   
まだ港そのものを描いていないので、3枚目は波止場に出てみた。神戸から来られたというグループの人が描いておられたので、その隣に割り込ませてもらった。薄曇りでとても気分がよい。しかし、いつものことだが刻々と変化する海面の表現は難しい。

室津10−3・室津港A(たつの市御津町)10.04.18       F6
室津港の波止場で描いたあと、防波堤の内側に入ってふと眺めた風景からケロさんの絵を連想した。「そうだ、これこそ漁村の風景」と思った。家の前のプロパンガスボンベにも生活感がある。漁港は夕方になると人の動きが活発になる。スケッチしていると、後ろのお宅から出てきた赤い服の女の人が急いで港へ向かっていく。またとない点景になった。

室津1(御津町)04・03・28 アルシュ36×51cm
過去に2度この町に来たことがあるが、絵を描くのは初めて。絵仲間のMさんと、さわやかな春の日差しの下で気持ちよく描いた。後ろから覗き込んでいた人たちの中にサラリーマン時代に顔見知りのMさん(別人)がいて、思わぬ再会となった。Mさんは「吟行」に来られたそうで、後日、同行の方からその時の句が寄せられた。
「岸壁の画架に人寄る室の春」(政次)

室津2(御津町)04・03・28 アルシュ36×51cm
午後は日を背にして、この町を代表する歴史的建物「海駅館」などが建ち並ぶ町並みを描いた。絵を描いている後ろに殻付き牡蠣の即売所があって、お客を呼び込む声がずっと聞こえていた。

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