福井県

河野(河野村)

日本海に面した河野村の役場近くに、かつて北前船の船主だった豪勢な邸宅が並んでいる。この町並みの特徴は海側にある門や蔵と山側にある母屋との間を細い路地が通っていて、公道の役割をしていることである。断りもなしに他人の家の庭を通り抜けるような感じで、何だか申し訳ないような気分である。

河野(河野村)04・05・07 アルシュ36×51cm
スケッチしたお宅は「北前船主の館」として公開されている右近家。最盛期には30隻余りの北前船を持ち、後に事業転換して損害保険会社を興されたという。天保時代の構えを基本に明治34年に建てられたもので、絵に描いた建物以外に右側に蔵が1棟、さらに山の上に昭和10年建築の「西洋館」もある。

現在は町並みのさらに海側に国道が通り、立派過ぎるほどの駐車場が整備されている。背中で波の音を聞きながら、ゆったりとした気分で描いた。

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