秋田県

泥湯温泉(湯沢市高松字泥湯沢)

せっかく東北へ出かけるのだからいかにも東北らしい温泉に泊まりたかった。大阪駅前の秋田県事務所で情報を仕入れ、選んだのが泥湯温泉。名前もいい。「湯沢市」というのが気に入らないが、山道をくねくねと登りつめたところにある文字通りの「秘湯」だった。道の両側から噴き出す蒸気をくぐって温泉街に入った。

泥湯温泉1(湯沢市)05.05.21 36×51cm
朝、近くの丘に登るとあたりは一面の春。宮城県、山形県の県境に近い。残雪がある山はおそらく高松岳(1348m)だろう。温泉街の向こう側は木が一本もない地獄。手前の足元からもぶくぶくと湯が湧き出ている。

泥湯温泉2(湯沢市)05.05.21 F6
宿は3軒。そのうち宿泊した奥山旅館(絵の正面奥)には独自の源泉が2つあり、風呂も男女、混浴、露天などを合わせて7つもあるいい宿だった。3軒のうちこの宿だけが冬も営業しているという。「日本秘湯を守る会」の看板が掲げてあったが、アルバイトであろう宿の女の子の言葉は「コンビニ語」だった。

トタン屋根(湯沢市)05.05.21 36×51cm
一瞬目にしただけなのに忘れられない光景というものがある。泥湯温泉から湯沢市の市街地へ向かう県道で「トタン芸術」ともいえる民家が見えた。先を急いでいたためそのままやり過ごしたがどうも気になる。その夜の宿で「いらかぐみ」の仲間にその話をすると、翌日、そのあたりの町並みを探索することにしていたNさんが、わざわざ寄り道をして写真を撮り、送ってくれた。そのご厚意に応え、絵にしてみた。この家の持ち主は意識はしていないものの、多分に芸術的センスをお持ちのようである。

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